2004/10/13 国立演芸場「桂吉朝独演会」
加藤隆也
桂 よね吉「商売根問」
桂 吉朝 「元犬」
桂 米平 「二人ぐせ」
桂 吉朝 「宿屋仇」
中入
桂 吉朝 「首提灯」
恒例、秋の「桂吉朝独演会」に行ってまいりました。
5月の連休と10月の独演会は東京在住の吉朝ファンにとっては外せない2日間です。
桂吉朝師匠を知ったのは、ご他聞に漏れず「劇団リリパットアーミー」への客演でした。
1993年の「天下御免の馬侍‐紅葉城奇談‐」の時に初めてその演技の面白さに驚き、1996年の「天外奇譚」でその役者さんが実は落語家だと言う事をハッキリと認識して、東京の独演会に通うようになりました。
以来、春・秋の独演会は欠かしていません。
ご本人の病気で国立演芸場を一度飛ばされたことはありましたが。
さて、桂吉朝師匠は人間国宝・桂米朝師匠の弟子の中でも、正統な古典落語を引き継ぐ最右翼の噺家でしょう。
別に最左翼でもいいんですが。
端整な見た目。
折り目正しい噺っぷりなのに大爆笑。
正に吉朝師匠の特徴は端整さと爆笑が同居する妙です。
この日もたっぷりと堪能させてもらいました。
前座は三番弟子の桂よね吉「商売根問」。
この噺は初めて聞きました。
前半の「こぼれ梅」と「殻付き落花生」で雀を獲る話までは「鷺とり」とほぼ同じで、後半はばかばかしいとんでもない噺になっておりました。
よね吉さんも達者なしゃべりで、吉朝師匠のお弟子さんたちはどなたも上手です。
次は主役の吉朝師匠の出番。
出て来られた姿を見た時、一瞬「痩せたかなノ」と思いました。
心配しましたが、いつもの語り口でほっと一安心。
毎々枕の面白さは出色ですが、今回も思い付きのような新鮮な枕を適当に振ってくれる。
ただの世間話が面白いんだから困ります。
「元犬」。
白犬が天神様に百日裸足参りして人間になったと言う・・・。
噺の途中、下座に向かって「・・・見台、いらんで、ワシ・・・」。
もう、説明の付かない大爆笑。
すぐにめくりのお嬢さんが出て来てソソクサと見台を下げ、
噺に戻って、突然人になった犬がついつい犬の仕草をしてしまう可笑しさにまた爆笑。
確かに、見台があったら犬の仕草が見えません。
米朝師匠の門下、桂米平「二人ぐせ」をはさんで、再び吉朝師匠。
お馴染み「宿屋仇」をたっぷり熱演。
吉朝師匠の演ずる旅の三人と宿の喜八と侍の遣り取りの面白さは別格です。
中入り後の最後の一席は「首提灯」。
噺全体とさげの落差がものすごい噺で、こんなのありですか・・・と思う位にシュールで、驚きました。
今、古典の噺をこれだけ楽しませてくれる噺家は、東西を見渡してもそうはいません。
吉朝師匠はその最右翼だと思います。
最左翼か・・・。
ま、どっちゃでもええわい。
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