2004/9/17 日本青年館大ホール「談志圓蔵二人会」
三谷潤一
前座の立川千弗が「元犬」を最後まで演じた後、橘家圓蔵師匠登場。
名人の二面性をまくらに「鰻の幇間」。
続いて立川談志家元の「やかん」。
「談志版やかん」を初めて聴いた。
八つぁんがご隠居に言葉の由来を次々と尋ねる。
魚や動物や日用品の名前を挙げては「何でそう呼ぶんです?」
たとえば「コチって魚は?」「こっちに泳いでくるからコチ」という具合。寄席でよく聴ける落語。
それが家元の手にかかると哲学問答、禅問答の様相となる。
「正義とは?」「自信のない弱虫の言い訳。」
「愛とは?」「自己愛だけ。」
「じゃあ愛する人に命を捧げるっていうのは?」
「そういう自分を愛してるってことだよ。だから自己愛。」
驚きました。
また問答の答に説得力がある。
やかんは出てこなかった。
仲入りのあと、「特別企画 談志圓蔵歌謡合戦」。
70年代前半にラジオで放送されていた番組の再現。
お二人の反射神経のスゴいこと。
頭に口が追いつけないもどかしさが見えたりもしたけれど、早い早い。
一言一句聞き逃すまいとしていたけれど、途中から諦めて、お二人のやりとりに身を委ねることにした。
合戦とはよく言ったもので、面白いことをいかにタイミングよく発するかを競い合う様相。
声を出す間だけでなく、お互いの駆け引きや探り合いも同時にしているから、物凄いスピードで頭が回転しているのが伝わってくる。
これ、放送当時は評判を呼んだというのもわかるけど、おそらく若いお二人のスピードについていけない年配の聴取者からは批判もあったに違いない。
がちゃがちゃしてて何言ってるかわからないとか、騒がしいだけでついていけないとか。
ついていけなかった30年前の聴取者の年齢を追い越したかもしれないお二人のお若いこと。
もし、この企画が定期的になれば、もっとスゴくなるんだろうなぁと思わせてくれる余力まで感じさせて。
月一くらいでどっかでやらないかなぁ。
MXテレビあたりでもいいから。
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