2004/9/14 国立演芸場 「談志ひとり会 第一夜」
三谷潤一
幸福な時間でした。
前から二番目の席だったので、談志さんと目が合うんです。
「芸の神様は残酷」と喉の不調を言ってましたが、声が通ってらして。
落語と戯れながら創っていく空間の心地よさ。
一席目「庖丁」。
本来の下げで起きた拍手を手で制しながら噺を続けて、
「どう?こっちの下げの方が良くないかい?そうでもないか?」と
いう笑顔を見せた後、一瞬舌を出して高座を下がる。
手応えを感じたからこその照れ。シャイなんだなぁ。
二席目「道具屋」。
「与太郎讃美をやる」と宣言して、おじさんと与太郎との会話。
与太郎に言い負かされる叔父さん。理では勝っているけど、叔父さんに
従う与太郎。家元の与太郎は確信犯。馬鹿は犯罪ではないか。
この落語、寄席に行けば必ずというほどよく聴くのに、違うんですよね。
家元が演ると面白い。いや面白い噺なんだけど、次に何て言うか大体
わかってる。わかっていて、その通りに演ってるときでもおかしい。
多分、談志さんオリジナルの座り小便婆ぁというのが私は好きです。
三席目「平林」。
「時間がまだちょっとあるな、『平林』やるか。」
「これ何て読むんですか?」と訊かれる側が、忙しかったり、
占い師だったり、で読み間違いが起こった、という噺に変わってた。
そうじゃなきゃ、タイラバヤシにヒラリンなんて読まないだろ?と
いうのは以前聴いた覚えがある。
終わってから「初めて演ったよ、平林」え?そうなんですか。
ってことは「談志の『平林』を聴いた」というのは自慢できるのか。
ネタおろし?でも「平林」。自慢になるのかな?
別に自慢しなきゃいけない理由も事情もないけれど。
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