2004/9/12 六本木アカデミーヒルズ
第一回ほぼ日寄席 春風亭昇太独演会 夜の部
〜「初めての感動」に感動〜
にしき
「初めての落語」をコンセプトに、今まで落語を生で聴いたことがなかった方々を対象にした落語会。
とはいえ情報が流れるや、見逃すはずがない落語ファン、昇太ファン。
「自分が行くのは趣旨から外れる」と思いつつも、早速チケットを入手し、勇んで会場に出かけたのでした。
オープニングは主催の糸井重里さんと主役の昇太さん登場。
二人で高座に座り、会についてのご説明。
「初めて落語を生で聴く人」に手を上げてもらうと、思いの他いたようで一安心。
昇太さんが「いつも来てくれている人はチェックしてますから」糸井さんが「初めての方が対象の会なので、よく来てる方々、ちょっと先に笑ったりしないように」と、「経験者」に釘を刺す。
糸井さん「よく来てる人は、今日一番肩身の狭い思いをしてますよね」気遣いか駄目押しか。
でもそれが功を奏して、初めての人がとっても素直に反応できたのじゃないかと思いました。
一席目、噺の前に落語の歴史、しぐさについてのレクチャー。
扇子と手ぬぐいの使い方、目線の決め方の解説に、感心のどよめき。
演目は「人生が二度あれば」。
盆栽を手入れする扇子の「ハサミ」に、「さすが」の反応。
爆笑とともに、面白さへの驚きと感動のうちに仲入りへ。
後半、曲独楽の三増紋之助さん、ちょっと低い天井にもめげず、いつにも増してよい反応に、芸にも力が入ります。
客席に下りての「風車」、糸井さん参加の「トトロ」。こちらも「初めて」の感動。
この後昇太さんが、出てくるなり「今、紋之助君が『気持ちよかった〜』って言ってました」。
二席目「壺算」。
古典だけど古典じゃない。
ただただ、お客さんは登場人物とともに頭の中がフル回転。
幕のない高座ということもあり、噺の前に「僕が頭を下げたらすべて終わりです。後はなんにもありません」と振っておいて、終わった後は昇太さんサッと退場。
「追い出し太鼓」の代わりに、両脇の大画面に鶴瓶さんが映し出され「もう帰んなはれ」。
私の後ろの若い女性は最初から最後まで「すごい」「すごい」を連発。
そっと、「初めてのお客さん」のかたまりに目をやれば、キラキラした目を高座に向け、みんな「思わず」拍手をしてました。
「初めての方のための落語会なんですよ」ということを強調した以外は、ただただ、落語が聴きやすく見やすい状況が作られ、昇太さんも紋之助さんも、パンフレットのコメントどおり「いつものようにぱぁ〜っと」やってくれて、それに対して「初めての方々」の反応が直に返ってくる。
ちょっとすれた「経験者」の自分はなんだか少しウルウルしてしまいました。
「落語っておもしろい」のスタートを切った方々、いろんな落語会に、「経験者」なんか蹴散らして、みんなで押し寄せましょう。
また新たな展開が生まれそうな気がします。
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