7/18 渋谷・シネマライズ「茶の味」
高野ガラス店主人45歳
田舎に住んでいる家族がいて、
みんな何となくもやもやした「悩み」状のものを抱えているんです。
でもまぁ、人生の一大事ってほどではなく、
それを抱えて生きているんですよ。
長男は惚れっぽいけど内気で、思いを伝えられないし、
妹は、時々「家よりでっかい」自分の分身が見えてしまう。
今は専業主婦だけど、アニメーターとして復活したい母親。
自分の仕事が楽しいのか楽しくないのか分からない父親。
そこに、昔の彼女に声が掛けられない叔父さんやら、
トリッキーなおじいちゃんやら、
美人の転校生、血だらけのヤクザの亡霊、フィギュアオタク、
中国雑伎団みたいな暴走族、う_こが乗っかった骸骨など、
色んな物や者が行き交うんです。
なのにみょ〜に穏やかでのほほ〜んと『茶の味』なんです。
先ずでっかい分身が現れる女の子が、何と言っても凄い!
この子の表情、仕草、ぶつぶつと言う独り言、
所在なげに何処かを見つめている目が、それはそれはステキ。
この子の言動を追いかけているだけでも幸せな気分になれます。
その表情が、最後の最後に変わる瞬間、
不覚にも目頭が熱くなります。
こんなはずじゃなかったけどって感じです。
トリッキーなおじいちゃんは我修院達也。
そう、あの元若人あきら。
初めはちょっとあざといかなぁと思うんだけど、
余りのとんちんかんな変人ぶりに、
だんだんはまってきますよ。
彼が歌う「お湯の唄」とか「三角定規の唄」、良いです。
あとフルバージョン歌われる「山よ」という馬鹿唄。
バカバカしいけど、何故かグッと来る。
僕等から見るととほうもない家族に見えるけど、
「普通」なんてどこにもなくて、
みんな「特別」なんですね。
はたから見れば小さな悩みも、当人には計り知れない問題。
それが少し解決すると、先へ進めたり大人になれたりします。
よく考えると一見シュールなCGも、
「妄想なんて、こんなもんかも知れない」と思えば納得します。
映画を見終わって外に出て、
振り返って映画館に飾られた『茶の味』の看板を見ました。
出演者が思い思いの顔をして、縁側に佇んでいる写真です。
ここでまた、不思議な感動がやってきます。
な〜んか、やられたなぁって作品でした。
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