8/11 PARCO劇場 パルコプロデュース「鈍獣」
三谷潤一
面白いですねぇ、宮藤官九郎の脚本は。
どの役もはまっているように見えるのに、主役の男三人を日替わり交替で演じても面白くなりそうなところがスゴイ。
演じる役者がいいということもあるけれど、それは作品の力。
いじめられる人というのは、いじめたくなるオーラを発していて、ついいじめる側がやり過ぎちゃう。
そうそう、そういうものだよねー、とか。
アイツが悪いんだよ、だって鈍いんだもん、とか。
決して正論にならない理屈なんだけど、その場の空気では妙に説得力のあることを掬い取るのが実に上手い。
その勢いで話はどんどん転がって、ますます間違った方向へ展開していく。
いじめはやめましょう、とか人間は怖いですねぇ、とかいったもっともそうな正論を全く感じさせないところが、またエライ。
強いて言えば「鈍さはコワイ」かな。
鈍いのは確かに困る。
気がついてくれよ、頼むから、ってことはある。
一方で、自分が鈍くて周囲をイライラさせているんじゃないか、という不安もある。
だから、舞台の上のどの役にも感情移入できる。
そうそう、あるある、と。
古田新太、生瀬勝久、池田成志の三人から楽しんでる様子が伝わってくる。
必死に笑いをこらえているように見えたときがあって、あれはアドリブなのかトチリなのか、おそらく三人で互いに仕掛けたりしてるんだろうな、とも
思わせました。こちらからは想像するしかないのだけれど。
三人が面白いのはもちろんだけど、女優さん三人もなかなか健闘してました。
河原さんの演出も良かったのでしょう。
男優三人は「ねずみの三銃士」という名で、これからもスケジュールが合えば一緒にやるそうで、このユニットはこれからも楽しみです。
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