8/3 ザ・スズナリ 燐光群「私たちの戦争」を見て
ひらりん
パワフルな舞台でした。
いまだに、イラクの牢獄のシーンや、誘拐されたジャーナリストが
浮かんできます。
アメリカの兵士の家庭を描いた3部をみて、
久々にアメリカ留学の頃を思い出しました。
交換留学先の大学は、「頑迷な父」予備軍だらけでした。
政治学の授業の討論では、ブッシュの子供達みたいな3人組が幅を聞かせ、
教授は幼稚な議論に頭を抱え、福祉は無駄使い論を振り回した時には、
母子家庭で育った女子学生が反論して泣きそうになったり、大変な学校でした。
前の年の留学生が、「世界に武器商人が絶えない訳がわかった」と話していたそうです。
留学生なんて鼻にもかけない金持ちの子女のなか、
同じ境遇の学生、黒人、奨学生=貧乏、と肩を寄せあってました。
食堂では、びしっと人種別のテーブルに分かれていて、最初はびっくりしたものです。
白人学生の殆どは、郊外の裕福な寄宿高校の純粋培養で、
黒人学生は都会の奨学生がほとんど。
お互いにちょっと見下していて、交流がない。
ちょっと変った服装をしていたり、黒人学生と普通に話す人は、都会出身の人ばかりのようでした。
日本にきてるアメリカ人なんて、異文化に興味があるぶん、普通じゃないんだなあ、と感じました。
アメリカを左右する未来の小金持ちの学生さん達は、せいぜいヨーロッパにしか興味なし。
学校のロゴ入りトレーナーを着て、同じ雪靴穿いた学生が9割、
日本人のファッションに個性がないなんて、目じゃありません。
規模の大きい州立大学だと、小数派も10倍の1000人規模なので、
一勢力になって、変った人も多くて過ごしやすいと聞きました。
これが、車で3時間のモントリオールに行くと、全然違うんです。
人が違う格好してる、お洒落してる、いろんなまともな食べ物がある、
人種別に歩いてない、などに、いちいち感激してました。
今、東京から行っても絶対あんなに感激しないだろうな。
カフェオレボール1つにも感激してる日本人をみると、
アメリカの田舎への留学生だろうと分かるので、おかしかったです。
アメリカの田舎は、均質なんですね。
同じ階層の人が他者に全く興味を持たずに暮らしている。
町や村の新聞しかないのが普通だし、ラジオの音楽も分かれている。
中西部の人と結婚した友人は、カントリーのラジオ局しかないのよ、全米チャートが懐かしい、
と嘆いていました。
マイケル・ムーア監督は、こういう田舎の出身の人でありながら、
当たり前に育った社会に違う視点を持とうよ、という映画を作ったところが一番凄い。
一般のアメリカ人も、考えさせられたのではないかと思います。
知る機会があれば。
オハイオから一時帰国した、職場一情報通だった筈の友人は、
アカデミー賞の授賞式前後で有名になりつつあったムーアという名前を聞いたこともなく、
著作の原書を、日本で買って帰りました。
「アルジャジーラ知らないの?小学生でも知ってるよ」
と言われて、焦ってましたっけ。
もちろん、楽しいことも沢山あり、日本では出会えないような突き抜けたパワーの持ち主にも会えたり、
アメリカは奥が深いのですが。
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