2004/11/13 東京芸術劇場 小ホール2
「立川談春 大独演会 〜20年目の収穫祭〜 追加公演《後夜祭》」
加藤隆也
立川談春 「紙入れ」
柳家一琴 「紙切り」
春風亭昇太 「おやじの王国」
仲入り
雲龍 「笛」
立川談春 「夢金」
相も変わらずお恥ずかしい次第だが、談春は初めてです。談春、志らくと気になりつつもついつい見損なっていた。
志らくは未だに見損なっているウチに映画監督さんになってしまった?!(笑)。
関西在住の友人が桂吉朝を観たいにもかかわらず、まだ観たことがないのと同じ問題のようです。
要するに「いつでも観られる」と言う安心から来る怠慢(笑)かと。反省しております。
さて、今回の「立川談春 大独演会」はチケットが早々に完売してしまい、例によってワタシは怠慢から来る出遅れに臍を噛んだ訳ですが、天はワタシを見放しませんでした。追加公演ですよ。しかもゲストは昇太。ああ、助かった…。
さて、初見参の談春の印象は「こりゃ巧いなぁ」でした。
立川流らしい鼻っ柱の強さもあるし、「こりゃ立川一門はハズレがない」と今更のような大変失礼な感想を漏らしてしまうワタシなのでした。いい加減にしないと殴られますな。
談春、枕で、前日の談志師匠が終わってホッとしているのが手に取るように判りましたよ。やっぱりこわいお人なんですね。
一席目は「紙入れ」。初めて聞く間男の話。色っぽいおかみさんと間抜けな旦那のやりとりが笑わせる。
二席目が珍しい。柳家一琴の「紙切り」。
本業は小三治師匠のお弟子さん。なんでも二つ目の昇進時に小さん師匠から「台所おにしめ」と言う名前を付けられそうになったとか。そりゃ断るだろうなぁ。この人の「紙切り」は素人芸ではない。本業ではないがなかなか見事な客あしらい…って、そっちかい。しかし、干支の「オスねずみ」とかお客さんの「似顔」とかなかなか見せてくれました。今度は本業を見せて貰いたいものです。最後にわざわざ丁寧に切り屑を拾ってから、またばら撒いて高座を降りていきました。恐いよ(笑)。
三席目はゲストの昇太。ワタシは今年この人を随分見せてもらったが「高め安定」でいつ見ても飽きない。
ワタシにとって中堅のトップバッターは昇太と喬太郎だなぁ。「おやじの王国」を初めて聞いた。
中入り後はいきなり真っ暗。雲龍という人の「笛」を四曲。
場を締めて、トリは談春。
客席は暗いまま。
勢い談春に集中するワタシ。
枕無しでいきなり「夢金」に。
大川端の雪の中、船頭の寒そうな様子がこちらまでヒシヒシと伝わってくる。
浪人者を沖の中州に置き去りにしてくる時の胸の透くような啖呵。
いやはやお見事。
落語は血筋じゃないですよ。
意味もなくそんなことを思いました。
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