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2004/11/6下北沢「劇」小劇場
春風亭昇太ソロライブ
「感傷旅行〜センチメンタルジャーニー〜」
にしき
3日間公演の最終日。
会場に入ると、舞台の上には、高座とその横に、スポットライトのあたった小さな机。
上にはレコードを載せたプレーヤーと、女性のブロマイドの入った写真立て。
客席に向くように立てかけられたレコードのジャケット。
開演前のBGMが途切れたなと思って顔を上げると、私服の昇太さんがそっとレコードをかけかえていました。
すでに「センチメンタルジャーニー」な雰囲気。
開演時間になり着物、袴姿で昇太さん登場。
あいさつと、「携帯鳴らしたらぶっ飛ばす」と注意事項。
「今日は今好きな新作を4席やります」
一席目、白鳥さん作「まきしむde呑べえ」
爆笑編の落語でスタートでしたが、着替える間、昔のテレビの仕事の「闘っている」「恥ずかしい」ビデオ。
昇太さんもそうですが、そこに登場する在りし日の柳昇師匠、笑点の若手大喜利では談春さん、竹丸さん、落語家時代の伊集院光さんらの若い姿に、ちょっとノスタルジックな気分に。
二席目は「パパは黒人」
最後のパパと娘が腕を組んで歩くところで、しんみりとしたBGM。
休憩後
三席目は「戦後史開封」
エキサイトするおじいさんに笑いながらも、最後はぞくっとさせられ暗転。
ここで今度はショートドラマとでもいうのでしょうか。カラオケのように、曲が流れてセリフ無しのビデオ。きれいなお姉さんに失恋してしまうマスクの男が、やはりマスクの友達に励まされ、「僕には仲間がいる」「僕には好きな仕事がある」と、着物に袴、マントの姿で高座に向かい爆笑をとるという話なのですが、お姉さん以外、登場人物全員が昇太さんコレクションのレスラーのマスクを着用、誰が誰やら。
最後のテロップでわかるのですが、先日行われた「円丈還暦まつり」のときの出演者のみなさんということで、彦いちさんや喬太郎さんら若手の方々とともに、円丈師匠までもマスクかぶって登場してました。
最後は、喬太郎さん作「ハワイの雪」
話し終わってすぐに暗転。
余韻を残し、そのままバックに夕暮れの街や、ノスタルジックな部屋のディスプレイの写真が映し出されるのを見ながら、「センチメンタルジャーニー」は、昇太さんにとってのこれまでのことなのか、これからのことなのか、それとも今、この瞬間なのかと、ぼんやり考えていました。
拍手の中、舞台が明るくなると、着流しの昇太さんが登場。
「SWAをやっていて、今、人の噺を演るのが面白くてしかたない」と言いつつ、
「同じことを3日間やるのは大変だった」とも。
「来年もまた、どうなるか分かりませんが、来てください」
なんだかとても照れくさそうにみえました。
若いときの仕事の話、柳昇師匠のこと、22年やってきて自分は・・・。
笑いをちりばめての話ではあったけれど、よく聞く「これから面白いおじいさんになっていく」というパワーあふれる言葉とは裏腹とも思えるこの日の話は、タイトルにのっとったものだったのでしょうか。
センチメンタルな気分、帰ってきてこれを書いている今も、続いています。
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