2004/0/17 紀伊國屋サザンシアター
「真打挑戦公開LIVE・立川笑志のかなりEスペシャル〜いよいよ〜」
三谷潤一
日曜の昼下がり、開演45分前くらいに到着。
案外すんなり当日券を入手。ラッキー。
二つ目の立川笑志が自分の独演会で真打昇進判定を受ける様子をそのまま見せる、という企画。立川流でなければあり得ないライブ。
ビデオ 「志の輔、笑志のぶらり旅」
笑志 「悋気の独楽」
談志 「子ほめ」
中入り
ビデオ 「市川左団次、笑志の踊りを語る」
笑志 踊り
笑志 「愛宕山」
談志・笑志 判定
ビデオに登場する温泉宿のおかみさんがおかしかったなぁ。
それに引き換え、緊張感漂う高座。
観ているこっちまで一緒に緊張してしまうような雰囲気。
笑志という噺家さんは何人か出る落語会では確実に笑わせてくれる印象があるのだが、今日は様子が違って見えました。
状況を考えれば、無理もないですが。
そんな中で、談志師匠は「子ほめ」ですよ。
寄席に行ったら聴かないことはないという前座噺。
「なーんだ、子ほめかぁ」というような聞き飽きてる噺ですよ。
それが、あんな展開、こんなふうで、え、そうなっちゃうんだ。
「ネコ踏んじゃった」が全く別の名曲に聞こえる名ピアニストの演奏を聴いたようなものです。
名人は道具だけじゃなくて曲も選ばないのねぇ(ため息)、みたいなもんです。
一方で、笑志さんの方はきちんと演じようとしている感じが強くていつもほどは噺を変えたりアドリブを入れたりということを控えていたように見えました。
「愛宕山」は踊りや小唄や都々逸をやって、それがそのままお茶屋風景になっている、という構成。
この歌舞音曲が真打の条件のひとつなんでしょう。
前座のキウイさんが、そのときだけ客席通路でずっと見てました。稽古仲間なのかな?
さて、判定ですが、踊りと歌が及第点に達していないという結論で真打は見送り。残念だけど仕方ない。
いや、生々しい、というか笑志さんのぐらぐら揺れまくっている様子が伝わってくるんです。
合格か不合格か?ってとこから、不合格かぁ、みっともないことんなっちゃったなぁ、まで。
いろんなことが思い出されたり考えちゃったり、きっとしているんだろうなぁ、というのがわかる。
晒されるつらさ。
なんかね、自分の欲しいものがなかなか手に入らないとか、やりたいことがあるのにできないとか、そういうときの心境が思い出されて、他人事ではなかったです。
でも、真打挑戦と銘打たれたら、不合格を宣告する側にも勇気が要る。
そこを敢えて、というのは「まだ伸びるぞ」ってことでしょ、きっと。
次の挑戦を見る楽しみがこちらはできました。
それにしても、客というのはいい気なもんだ、われながら。
top |