2003/12/12PARCO劇場「志の輔らくご
IN PARCO」
三谷潤一
パルコ劇場の志の輔らくごは噂に聞いていましたが、初体験。
三つの演目に共通するのは「アクシデント」と「ボケ」。
「となりの喧嘩」ではテレビに出る羽目に成ったことがアクシデントで、
そこでとんちんかんな料理を作ってしまうのがボケ。
「メルシーひな祭り」ではフランス大使夫人とこどもが突然来ることに
なったアクシデントと町内会長のわざボケ、天然ボケ。
「小間物屋政談」は人助けをした相手が死んでしまうアクシデントと、
それを助けた本人と間違えてしまう上に新たな亭主まで世話してしまう
大家のボケ。
さて、この共通項はそのまま世情を反映しているという意図がある筈で、
やっぱりイラク戦争がアクシデントで、派兵しようという某国首相がボケ、と
いうことになるのかなぁ。いやいや、派兵しようという話がアクシデントなら
それを止められない国民がボケということになるのかも。
「となりの喧嘩」のマクラでのテレビコマーシャルの話にお隣同士で
「あれなのよ」「あ、そうなの」とひそひそしている中年のお姉さま方。
高座で「あれは中国雑技団の方なんですってね」に「ほら、ね」と大きく
うなずきあってらして、その様子が右隣に座っていておかしかったです。
本題も専業主婦が登場する話でしたし。
私の右隣のご婦人は「小間物屋政談」で死体を間違える下りに「あら、やだ」と
思わず呟いておいででした。
女性の方が素直なのかもしれませんね。
男の場合、妙に構えていて「俺は滅多なことじゃ笑わないぞ」っていう人いますもんね。
逆に「わざと?」って思うくらいよく笑う客というのも白けますが、どちらも男に多い気がします。
志の輔自由自在。意のままに翻弄される客席。
一番驚かされ笑ったのは「メルシーひな祭り」の最後に登場する人間ひな段。
そりゃ手拍子も起こります、あの仕掛けには。
「小間物屋政談」でほろっとして、気持ちのいい会でした。
あんまり気持ちが良くて、ご一緒した方と二人で飲み始めたら終電に乗り遅れ、タクシー一時間待ち。
参ったなぁ。でも、何か楽しかった。
こんな時間に渋谷にいるの久しぶりだなぁ、と思ったら嬉しくて。
まぁ寒風にさらされて酔いが冷めるにつれて感情の高ぶりも沈んでいき、「飲み直そうか?」という若さはなく、
列が進むのを待ち続けておりました。
やっとのことで乗れたタクシーで早速訊きました。
「運転手さん、日本の景気はよくなったってこと?」
「いや、それはないです。こんなに混むのは年に一度か二度のことで、お客さん
運が悪かったんですよ。」
忘年会シーズン真っ盛りの金曜の夜のことでした。
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