06/11/04 木馬亭11月浪曲定席
じむ福
飽きもせず、毎月、浅草の木馬亭に通っています。
何しろ、お気に入りの浪曲師全員が80歳以上100歳未満。
お元気なうちに一席でも多く、とにかく観られるときに観ておかないと。
大きなことを言うようですが、 ← 今はなき春風亭柳昇師匠の口調でヨロシク(^_^)v
木馬亭といえば〜、我が国では〜、唯一の浪曲定席でございます。
浪曲師5名の間に講談師1名が入るという構成で、この日の講談ゲストは、神田茜ちゃんでした。
ママでもある大人の女性に「ちゃん」付けもないんですが、一昔以上も前の“うら若き独身時代”の茜講談を知っている身にとっては、いくつになろうと茜ちゃんは茜ちゃんなんですね。
子育ても一段落して講談界に復帰したと噂には聞いていましたが、その姿を観たのは、今年前半、やはり木馬亭の講談ゲストでした。
プログラムにもめくりにも「神田茜」とありましたが、舞台に登場したのは、いかにも神田派女流然としたほっそり美人。
独身時代、どちらかといえばポッチャリ系だった、あの茜ちゃんとは別人のよう。
すっかり上がった女っぷりにびっくりするやら、そつなく古典講談をこなしている姿に成長のあとを感じて感慨に耽るやら。
あれから半年。リバウンドもなく、相変わらずスマート美人の茜ちゃん。
木馬だと古典で無難に流すんだろうと、ちょっとタカをくくっていたんですが、自作講談で客席をぐいぐいひきつけ、浪曲の牙城をあっという間に茜ワールドへ。
「あの頃の夢」と題された2億円の宝くじに当たった夫婦のお話。
微笑ましくて暖かくて、ゲラゲラ笑ったり、感心したり。
茜ちゃんがモデルかと思うような、しっかり者の奥さんと、彼女の尻に敷かれながらも家族を愛してやまない優しいダンナさんとが50年後に迎えた結婚記念日に…。
面白おかしくて、ちょっとホロリとさせて…聴き終えてすぐ、これは茜版の「芝浜」だと思いました。
特に熱演というのではないのに、聴いている者の心に響く茜講談。
神田茜おそるべしです!
幕が降りるやいなや(注:浪曲定席は一席終わるごとに幕が降りるシステム)、常連のおじさまが前に座っている知り合いに茜講談を熱く語って感心しきり。
そのおじさまは、日本料理本牧亭で開催されていた講談席(注:今も続いているのかもしれませんが)でよく見かけた方で、きっと茜ちゃんや現・山陽さんのような講談師を認めたがらなかった御常連の一人だったのではと思われます。
そのおじさまが、顔見知りを相手に話し込んでいる…愚考するに、「講談の真価は、いかに心に届くかであって、古典だからいい、新作だからダメなんてことではない」という得心を伴った感動を友人と分かち合いたかったのではなかろうかと。
素直に感動しているおじさまブラボー!
お目当ての御老体方も、もちろん素晴らしかったんですが、この日は、「神田茜健在」を目の当たりにできたことが、何よりの収穫でした。
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