06/10/21. 三越劇場
劇団若獅子「忠臣蔵外伝 その前夜 二幕」
岡町高弥
久しぶりに清冽な芝居を見た。
劇団若獅子「忠臣蔵外伝 その前夜 二幕」である。
「小平太篇」では直前で討ち入りに加わらなかった
謎の毛利小平太の揺れる心の動きと恋心を手だれの作家、石川耕士が見事な一幕芝居に仕立て上げた。小平太役の笠原章がいいのは無論だが、相手役をつとめた初代マドンナ光本幸子が素晴らしい。
さすがは元新派の看板女優だ。情感溢れる演技に華がある。
後半の「俵星篇」は三波春夫や谷ゴロショーの歌でしか知らなかった「玄蕃とそば屋の友情」が舞台で蘇る。
笠原章の天衣無縫な俵星と正木慎也の繊細なそば屋がいいコントラストになっていた。
二本とも佳作と呼ぶにふさわしい。
決して観客に迎合せず、さりとて難解にならず、あくまでも見せる芝居に徹して品格を失わない。
まさしく新国劇の<魂>を継承した劇団と呼ぶに値する芝居であった。
石川耕士と若獅子の役者衆にいい芝居を見せてくれて有難うとお礼を言いたくなった。
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