しもきた空間リバティ「絹13」
紀伊國屋ホール「笑いの人間交差点」
三鷹文鳥舎「みたかdeきいたか」vol.12
紀伊國屋ホール
「笑いの人間交差点 BY 木村万里シャッフル」
紀伊國屋ホール「笑いの人間交差点」
紀伊國屋ホール グリング「虹」
札幌 談春「芝浜」
横浜にぎわい座 のげシャーレ(地下ホール)
「笑志・ダメじゃん トーチカの不発弾 
イエス様にNo! No! No!」
上野鈴本演芸場下席
しもきた空間リバティ「絹13」最終日
鴻巣市・西洋料理「メイキッス」二階
「鴻巣寄席」
「立川流日暮里寄席」
日暮里サニーホール・コンサートサロン
しもきた空間リバティ「ヨージ単独ライブ」
「寒空はだか カラフルロスタイムショーVOL.2 With 三宅伸治&清水宏」
木馬亭11月浪曲定席 
江古田〜浅草〜中野
「日芸芸能塾vol.2」いろもの編:江古田・日大芸術学部中講堂
「浅草演芸ホール・11月中席夜の部」
「落語教育委員会」:中野・なかのZEROホール
駆け抜け記
下北沢ザ・スズナリ「チェックポイント黒点島」
大阪: 千日前 TORII HALL 
「第2回 艶芸サロン〜東西粋競演
(とうざいいきくらべ)〜」
三越劇場 劇団若獅子
「忠臣蔵外伝 その前夜 二幕」
帝国劇場「夢芝居一座」昼の部
名古屋大須演芸場
ダメじゃん小出ソロライブ「大須ナイト」
Star Pine’s Cafe 寒空はだかソロライブ
「Tower of吉祥Terror…冥王井の頭星…」
林家たい平独演会 たい平発見伝 其の一
浅草東洋館 「8☆王子芸能社 秋の余興」
池袋東京芸術劇場小ホール 「談春七夜」
 

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06/10/22 浅草東洋館
「8☆王子芸能社 秋の余興」

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「8☆王子」とはすなわち、宮田陽・昇、ナイツ、ロケット団、笑組、の4組のコンビ、計8人のみなさんのこと。
チラシには、「8☆王子芸能社、漫才界8人の王子が集まって結成されたスペシャルユニット」とあります。
未見のナイツ以外の3組はどれも好きなコンビ。
だから一定水準の満足度は保証されているはず、と思い、出かけてみました。
結果は、もう満足も満足、大満足でありまして、予想をはるかに上回る楽しさでした。
初めて拝見したナイツも面白かったです。
これで、4組とも好きなコンビになりました。
4組のカラー、個性はそれぞれ違うのですが、実力やセンスはみなハイレベルなんですよね。

以下、簡単な報告。
まず、全員が色とりどりのTシャツに、そろいの黒いジャージパンツ姿で入場行進しながら舞台に登場。
笑組のかずおさんだけ、ちょうどいいサイズがなかったそうで、同じ黒でも一人別のタイプのパンツをお召しでした。
ロケット団の倉本さんが仕切る形で、随所にボケも入れつつ、組み体操でピラミッドを作ったり、この会にかける意気込みをあいうえお作文で披露したり。
お終いはきれいにきめて、お客さんの拍手をもらい全員退場。
(ただし、整列はせず、各自バラバラに。)

次に、スタンドマイクを舞台中央に置くのにすったもんだする、という無言コント?があり、3組の持ちネタコーナーへ。
・宮田陽・昇
ファンにはおなじみの地名記憶ネタ。今回はアメリカ50州バージョン。
ハワイのポーズが愉快です。
・ナイツ
塙さんがイチロー選手の偉大さについて語るというネタ。
だけど、イチロー選手の活躍そのものよりも、少年時代に通ったというバッティングセンターに関する説明だけがやたらに詳しい。
落語「寝床」で、番頭さんががんもどきの製造法を説明する場面みたい。
あまりに長い説明に相方の土屋さんがうんざりすると、
「宇宙の歴史に比べたら、地球の歴史など短いもの。
(実際には具体的な年数をあげていました。)
その地球の歴史を1年と考えると、人類が誕生したのは、大晦日の夜の12時59分頃。
(バッティングセンターの説明に要する時間など)ほんの一瞬ですよ」
(台詞再現率、3割程度)
と、あくまでもバッティングセンターの情報ばかりを伝えようとする。
知的なボケと突っ込みが、いかにも今の漫才らしいですね。
・ロケット団
小ネタは色々あるけれど、メインになるのは「ラーメンの作り方&食べ方」。
果たして倉本さんは三浦さんに教わったとうりにできるのか?
エンジンをかけゆっくりと走り始めた車が、どんどん加速して最後はハイスピードで駆け抜けていく、ロケット団の舞台にはそういう爽快感があります。

休憩をはさみ、相方シャッフルコーナーへ。
AとBの会話の途中でAが去り、入れ替わりにCが登場し、BとCの会話が始まり、やがてBが去り、入れ替わりにDが登場し…と、コンビの相手を順に交換していくというコーナー。
1 ロケット団の正式コンビ
「やぎ(山羊)さんゆうびん」の歌詞について、三浦さんが倉本さんに質問するというネタ。
2 ロケット団倉本さん(ツッコミ)+笑組ゆたかさん(ボケ)
結婚式の二次会にふさわしい服装とは?というネタ。
3 笑組ゆたかさん(ツッコミ)+宮田陽さん(ボケ)
子供の頃の遊びに関するネタ。
4 宮田陽さん(一応ツッコミ)+笑組かずおさん(たぶんボケ)コンビ
ヒーローもののごっこ遊びを38歳の大の大人が大真面目でやる、というネタ。
ちゃんとお面やマントまで用意して、かずおさん生き生き。
5 笑組かずおさん(たしかツッコミ)+ナイツ塙さん(きっとボケ)
先輩後輩の関係に関するネタ(だったと思う)。
6 ナイツ塙さん(ツッコミ)+宮田昇さん(ボケ)
不良学生の実態に関するネタ。
わかりやすいボケとツッコミではなく、塙さんが能動的、昇さんが受動的に話すという役割分担の仕方。
昇さんは家族構成、学生時代の真実が明かされ、やや本気であせる。
7 宮田昇さん(ツッコミ)+ナイツ土屋さん(ボケ)
笑組の八木さん(=かずおさん)に3000円を貸した土屋さん、手紙で返してほしい旨を伝えようとする、というネタ。
8 7+ロケット団三浦さん(ボケ)
「やぎさんゆうびん、ってそういう話だったんだ」で落ち。

どのコンビのネタも非常に面白かったです。
明日からでもそのままお仕事できます、というくらい。
もちろん何度か練習もされたのでしょうが。
それにしても相方を変えても、ボケとツッコミの役割を変えても、きっちり水準の高い舞台を務められるのはたいしたものです。
各々にしっかりとした実力がなければ、こんな芸当はできませんよ。
4組の底力を見せつけられた思いでした。

・笑組(残り1組、とりをとる形で)
テレビ番組ネタ。
ヒーローものの悪役が、「細腕繁盛記」の意地悪小姑のキャラクターになったり、不自然な長台詞でおなじみのTBSの国民的ドラマの矛盾をついたり、ゆたかさんの腕は冴えわたります。
笑組の舞台を初めて拝見したのは6年ほど前ですが、ネタがどんどん面白く感覚的に若くなっているみたい。

お終いは4組が揃って舞台に登場。
笑組のかずおさんが代表でご挨拶して、会は終了。
秋の余興は大成功のうちに幕を閉じました。
あー、楽しかった。

ところで、今、巷では「落語ブーム」ということになっているそうですが、漫才界はどうなのでしょう?
二十数年前には「THE MANZAI」と、見かけだけ華やかにローマ字表記された「漫才ブーム」なるものがありました。
私は全然のれなくて、あの現象を醒めた気持ちで眺めていました。
今振り返って見れば、あのブームでは、才能がある人もそうでない人も一緒くたにされて、テレビ業界に安っぽく消費されてしまったような気がします。
そして今、嘘か真か「落語ブーム」とは別に、(というより、「落語ブーム」よりは先んじて)新たなエンタテインメントブームが起きているようです。
テレビには、いわゆるお笑いタレントさんが毎日のように登場していますし、お笑いのオーディション番組も人気があるようです。
(私は「お笑い」という呼び方は好きではありませんが、今テレビ界でもてはやされているものについてはあまり敬意を払う意思がないので、故意に「お笑い」と表記しております。)
が、活動の場がテレビだけの人は、結局は漫才ブームの頃のように、業界に都合よく使われて、一過性の人気者で終わってしまうのではないかなあ、と思っています。
「8人の王子」のみなさんは、テレビタレントを目指しているわけではない。
地に足のついた舞台芸人さんです。
諸先輩方の教え、芸を受け継ぎながらも、確実に今の時代にふさわしい新しい漫才をしていらっしゃる。
だから、過去の「漫才ブーム」の人たちのように、あるいは現在テレビだけに露出しているタレントさんのように、使い捨てられる心配はないでしょう。
22日当日、4組のみなさんの熱っぽい舞台を拝見して、そんなことを思いました。
みなさんが「落語ブーム」を意識されているのかどうかはわかりませんが、「漫才だって負けていないんだぞ」という意気込みのようなものが伝わってきて、とても頼もしく感じられました。
かつて、某演芸専門誌上で「漫才などという古臭い形態の芸は、いずれ滅びるのではないか」という意見を読んだ記憶がありますが、そんなものは面白い漫才を見たことのない人の無責任なたわ言だと私は思います。
漫才だってどんどん進化しているのですからね。
好きな演芸ジャンルを特定しないで、なんでもあれこれ見たほうがいいですよ。
とりあえず、この会は今後も続いていくようですので、1回目を見逃した方もぜひ2回目からはご覧になることをお勧めします。

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