05/11/16 池袋・新文芸坐「稲垣 浩監督生誕100年記念特別上映」
(稲垣監督25歳前後の作品?まぁヌーヴェル・ヴァークの先駆けか)
seychan
先ずはロビーに和田誠画伯の優しい懐かしいスタァのイラスト群を横目に見て会場に入る。
心なしかレトロな時代にタイム・スリップし子供の昔に戻っていた。
そして心地よい「♪美しい天然(天然の美)」が流れる中活動弁士登場する。
先ずは「諧謔三浪士」が始まる。
斉藤裕子氏の活動弁士の活躍・活動ぶり初めて知った次第である。そして若かりし頃の片岡千恵蔵さんは意外に痩身であることとギャグを飛ばすヒョウキンな役割りに驚いた。
♪侍ニッポン
♪祇園小唄
♪天国と地獄(後に敵性音楽?)
♪アマリリス(上に同じ?)
♪軍艦マーチ(時代を感じる、15年戦争の始まりか)
♪その他、三味線でお決りのチャンバラ節のてんこ盛。(曲名は知らないが)
よくも○○筋が上映を許したものである。矢張り大正デモクラシーが生きていた?
良き時代の名残りかと思う!ギャグ効果担当がいる事にも仰天す。
どう考えてもこの作品は「アチャラカ・時代劇<爆笑>ミュージュカル」である。
☆帰宅して和田誠著「シネマット・ティーパーティ」を斜め読みする。同氏は冒頭にギャグ満載映画「肉弾珍勇士」を見たことがあると仰っているが僕は国策映画「肉弾三銃士」見たのである。嗚呼、国民学校世代の民草は。
−休憩−
さ〜ていよいよお待ちかね長谷川伸原作の「瞼の母」が始まった。
勿論、弁士は沢登翠さん、師匠譲りの達者な滑舌、胸ドキドキと脈を打つ。
☆ものの見事に蹴躓いて笑いを誘っていましたが演出であったのだろうか?
(何故かイヴ・モンタンもリサイタルの時も出に蹴躓ずいていました。偶然か否かは解らない!!)
そしていよいよ始まった。時代劇であるには間違いないが出入りの場面は少なくてむしろ人情劇であるのに安堵する。(千恵蔵恰好イィ・五十鈴麗し・新八郎アラマァ)親子の情愛を見事に描いておりました。
文句の付ける気さらさら無いが何故かラストシーンに違和感を憶えた。
原作では親子で抱きあう事は無かったような気がしてならない。
戦後見た映画、長谷川半次郎も中村半次郎もお芝居(新国劇?)も、遠くから息子の姿を母親が見ていたように思う。
☆恐らく稲垣版の「瞼の母」なのでしょう。氏の暖かさが満ち溢れていると考えれば納得する気分になりました。嬉し、楽しの60分・・・
岩波国語辞典(第五版)で「瞼」を引きました。「瞼」目をおおって開閉する皮。「・・・の母」(幼い時に別れ、すがたをまぶたの裏に描いてしのぶだけの母)と記しています。想像するに編著者は長谷川伸の「瞼の母」が頭の隅に無意識に残っていたのでしょう?
最後に案内を下さった絹産業姐御及び実験的興行!そしてバリアフリーの劇場・禁煙運動厳しき最中敢えて喫煙所を造ってくださった永田支配人に感謝の誠を捧げます、ありがとうございました。
「瞼の母」を再読したく思いながら、和田誠氏の映画エッセィ集「お楽しみはこれからだ」PART1を読みつつ眠りにつく。
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