05/10/21 内幸町ホール
「すわ親治ひとりコメディ6〜自分がわからない〜」
岡町高弥
すわ親治の動きから目が離せない。くねくねと身体をひねりながらも身体の線が崩れない。
ドスの利いた声で恫喝したかと思うと一転して気弱なうめき声を出す。
硬軟取り混ぜた変幻自在の演技は癖になる。
「すわ親治ひとりコメディ」は、まず美空ひばりの歌のあて振りから始まる。
酔っぱらいが一升瓶の酒をあおって口からだあと吐き出すだけで可笑しい。
志村けんや加藤茶の往年のコントを彷彿とさせる。
「ひぐらし日記」は可愛いというには無理がある子供が犯罪一家の毎日を日記形式につづっていき淡々と読み上げるだけだが、怖さと面白さがある。
「犬」ではお預けを食らう犬(よしといったら食べていいよ、よし・・・いくぞう)などバカバカしいが、すわ親治の動きを見るだけで一見の価値がある。
「マフィア」は頭を打って壊れてしまった男が同じことを延々と繰り返す。
ピザを食べてはビールを注文し若いやつに説教する場面をひたすら反復する。
反復することで笑いを呼ぶから大したものだ。寸分違わぬ動きに圧倒される。
あらゆる事態に対応できる身体と数々の舞台をくぐった経験から身に付いた「間」は一級品だ。
美声を聞かせた「黒い花びら」の熱唱も絶品だった。
研ぎ澄まされた「笑い」を作る故林広志という座付き作家を得てますます磨きがかかってきた。
次のひとりコメディが待ち遠しくてたまらない。
岡町高弥
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