2005/8/23 お江戸日本橋亭「鯉昇一門会」
三谷潤一
過ぎし夏を惜しみつつ。
いえ、時期外れのご報告の言い訳に過ぎません。
観たり聴いたりしてからお酒を飲んじゃう。飲みながら今観てきたライブについて語り合う。
これが楽しい。でも、そうすると書けない。酔っ払っちゃうから。そのくりかえし。
でも、これ面白かった、って書きたいの。ひと月以上前のことだから、記憶も相当あやふやなんだけど。
この日、お江戸日本橋亭に行ったら、「落語芸術協会定席」としかなっていないんです。
「あれ?間違えたかな」と思ったら、兄弟子の小柳枝さんが「今日は鯉昇一門会で…」とまくらで話したので、「鯉昇一門会」とわかる。らしいよねえ。
鯉斗 「新聞記事」
鯉橋 「たらちね」
鯉昇 「質屋庫」
小柳枝 「抜け雀」
仲入り
昇輔 「南千住のペコチャン人形」が主人公の新作
Wモアモア 漫才
鯉昇 「佃祭」
開演前からほぼ満員でした。
たぶん、「質屋庫」も「佃祭」も滅多に聴けない噺。どちらもサゲがわかりにくい。
夏にふさわしいけれど、相当な腕がないと聴かせられないに違いない。
それを淡々と面白おかしく飽きさせず聴かせる鯉昇さんはスゴイのではないでしょうか。
「二席もやると疲れるし、明日は休みでやることはないし、動くと腹が減るし久しぶりに今日働いたから、 午前中は寝て、そういう日は寝疲れするので早々に床に就く」と笑わせておいて、何の気負いも見せずにサゲにつながるまくらを振って本編へ。
このさりげなさが鯉昇マジック。全く説明臭さがないんです。
鯉昇さんの落語を聴いていると、かつて町にひとつ演芸場があった時代の寄席はこんなふうだったのかな、と思わされます。
落語が身近に感じられて、聴いてから「面白かったね」とほくほくしながら帰れる。
お客さんも鯉昇さんしか聴いていないんじゃないか、と思われる方が多いような雰囲気で、演者と客席の距離のほどよい近さを感じます。
でも通ぶる人はいない。
それが、また良い空間作りに一役買っているのかもしれません。
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