07/3/12.13. 新宿末広亭 3月中席
綿菓子
古今亭志ん朝や、先代の金馬のように、完璧な話術で全く不安感を感じさせず、
噺の世界にぐいぐいと引き込まれて行く快感と感動を聞き手に味わせてくれる落語家と言えば、
現在では柳家さん喬師にとどめを指すのではないでしょうか。
そのさん喬師が主任を勤める新宿末広亭3月中席の夜の部、
何を置いても駆けつけざるを得ない。
演目は12日(月)は「百川」、13日(火)「幾代餅の由来」でした。
特に後者を、当方は素晴らしいと思いました。
聞き始めは、志ん朝師のCDに比べて登場人物(例えば、藪井竹庵など)の軽味がないかなあと思っている内に、噺に引き込まれて思わずハンケチで目頭を押さえてしまいました。
そう。前述のように一部のマニアだけでなく万人を納得させる芸という点で、
当方は第二の古今亭志ん朝師は、この方だと思っています。
但し、肝腎の会場は寂しいもので、末広亭の12日のトリまで残った観客は40名にすぎず、13日は60名くらい。
それでも、いつもと変わらぬ熱演でした。
東京の落語ファンの方々は、どこで夜をすごしていらっしゃったのでしょう。
一緒に出ている入船亭扇遊さんの高座も素晴らしいものでした。
末広亭の方は、寄席興行の利点で、千秋楽の20日(火)までは、まだ日にちがあるので、何とか機会をつかんでもう1〜2回、あの幸せな気持ちにひたりに行きたく思います。
NHKが恒例の年末年始の「日本の話芸」で、今年は、元旦筆頭にさん喬師の再放送を据えたのは、やはりそれなりの見識を示すものだと思います。
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