06/2/24新宿THEATER /TOPS
「当時はポピュラー 高松みづきさん(29歳、新婦)」
ボンジュール
披露宴が行われている会場で繰り広げられる人間模様、
一言で言えばそうなるだろう。ただし、一言では語るのは難しい。
10年ぶりに集まった同窓生たち、新郎新婦の親戚縁者たち、披露宴会場の係員。
それぞれが心にワダカマリを抱えながら、それぞれの役割分担で話が進んでいくのだが、
彼らの行動はしばしばワダカマリに阻まれて、いったい何が起ころうとしているのか、
どこへ進んでいこうとしているのか、なかなかわからない。
やがて新婦の高山みづきさんが失踪していることがわかってくる。
つまり、新婦はゴドー、披露宴に集う人々はゴドーを待っている人々、イコール、コント不条理?。
脳神経学者のラマチャンドランは著書「脳のなかの幽霊、ふたたび」の中で、
“笑いは自然に備わったOKサインだ”と言っている。
予想外の展開が、どうということもない、ささいなこと(落ち)だとわかり、
緊張や不安から解放するために脳が発する安堵のサインが笑いだと。
故林広志のコントが笑いにくいのは、このOKサインを出すきっかけを脳がなかなか掴めないからかもしれない。
予想外な展開はどんどん予想外に展開していき、
一見普通の人間もどんどん変になり、“どうということもない、ささいな落ち”には決して着地しない。
脳は緊張を強いられ続け、“OKサイン”を出すに出せず、笑いの飢餓状態になる。
笑えない笑い、いや、笑わない笑いは、
笑いの飢餓状態を生み出すコント不条理でもある。
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