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「当時はポピュラー 高松みづきさん(29歳、新婦)」
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「川柳川柳落語会CD第二弾発売記念&祝!生誕75年」
大久保R’Sアートコート「松元ヒロ ソロライブ」
PARCO劇場「PARCO歌舞伎 決闘!高田馬場」
三鷹文鳥舎「紫文のみたかdeきいたか」
四谷コタン「オオタスセリスタンダップ・コメディ」
日本橋三越劇場「BSジャパン特選落語会」番組収録
国立演芸場「古今亭志ん朝一門会」
紀伊國屋サザンシアター「我らの高田笑学校〜しょの26〜」
神楽坂毘沙門天善国寺「慢性ろくまく宴vol.19」
国立演芸場中席 大喜利・鹿芝居「人情噺文七元結」
新宿末広亭『品川女子学院高等部2年 総合学習の時間』
横浜にぎわい座「笑志の今夜はにぎわE」
ヤマハホール 「立川談春独演会」
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「有楽町噺小屋Jr.立川志の吉&立川志ら乃」
内幸町ホール 「桂雀三郎独演会」
姫路市民会館(兵庫県)新春恒例「米朝・小米朝親子会」
ひびきホール 「第136回長崎寄席 三太楼・白鳥二人会」
よみうりホール「第16回 東西落語研鑽会」
渋谷パルコ劇場「志の輔らくごin Parco」
北とぴあ さくらホール 「立川談志一門会」
巣鴨 studio FOUR 「松元ヒロ ジャズコラボライブ」
渋谷PARCO劇場「志の輔らくご in PARCO Vol.10〜其の壱〜」
 渋谷PARCO劇場「志の輔らくご in PARCO Vol.10〜其の参〜」 
渋谷パルコ劇場 「志の輔らくごin Prarco」

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06/02/03 横浜にぎわい座「笑志の今夜はにぎわE」
寒月

40度の発熱とのことで、談志さんは来ませんでした。
おかげで、志の輔さん、談春さん、そろいぶみで聞けるなんて、こんな豪華な会、きっとファンにはたまらないのだろうなと思いつつ、たまたま居合わせてしまった私は、客席の様子もちらちらうかがいながら見ておりました。
そうしたら、きっとよほど物欲しそうに見えたのでしょう、「よろしかったら」と、隣のご夫婦が豆菓子を下さいました。
この場を借りてお礼申し上げます。大変おいしかったですよ。
そんなわけで、空気成分を円グラフで表すと、「申し訳なさ」20%、「勝ち組気分」78%、「豆まき」2%の、笑門来福、どこまでも満ち足りた節分の夜でした。
一言でまとめれば、「シショウが来なくて、シショウがなかった」会。
とはいえ、談志さんがいないことが、逆に談志さんの存在感をいやましに増すのも事実。
何せ、すべてのマクラが、談志師匠いじりから始まっていたのです。
それからやっと世相の話。
非常識な事件が多い、ったって、非常識慣れしたその口が嘆くのですから、信憑性なしですよ・・・なんて思ったりもして。
でも、談志師匠は愛されてますからね。談志という人はこんなにも愛されているんだ、と改めて発見しました。愛情は大事です。
こういうたとえ方はどうでしょうか。
ここにスキー場があります。
大雪で今にもつぶれそうな地域があるってのに、同じ雪で面白おかしく遊んじまおうという、因果な場所です。
ゲレンデは賑わっていて、当然いろんな人がいます。
前の人が滑ったあとを、踏み外さないかと用心して、恐る恐る滑っている人。
知ったこっちゃねえよ、と、かんじきでずいずいゲレンデを突っ切ってゆく人。
スノーボードぁ難しいなあ、なんていいながら後ろ向きで誰ともぶつからず滑ってくる人。
初めのスキーの人は、言ってみれば笑志さんです。
かんじきの人はさしずめ談春さん。
スノーボードの人は志の輔さん。
そんな見立てです。
各人各様、立ち向かっているものは違いますが、次第しだいにコツをつかんで参ります。
上手になれば、何がいよいよかはわかりませんが、さあいよいよと意気込んだり、自惚れたりもするでしょう。
そこへ、急に、辺りが暗くなる。ああ、日が翳ってきたな、と思って見上げるってえと、峰と峰の間に、ぬっとのぞいたのは、太陽ならぬ談志その人。
巨大な顔がいきなり、「へっ」、とくしゃみ一閃、たちまち雪崩が起こって、スキー場は跡形もなく雪の下に埋もれてしまう。
一言で言ってしまえば災厄。談志さんの存在感とは、そういうものでしょう。迷惑この上なく、だからこそハプニング性が楽しい。
もっとも、今回はちょっと勝手が違っていて、強いはずの談志が、ずいぶん弱った姿を見せている。だもんで弟子が疑いつつも気が気でない・・・でも疑わしい・・・というジグザグした感じがあって、やってることはたぶん一緒なのですが、深いテンションと勢いのある高座を作っていました。
それらすべてが談志師匠の策略だったという可能性は、十二分にあります。
前座は快楽亭ブラ汁改め立川らぐBさんの「寿限無」。マクラもそこそこに、かけ足の感もありましたが、いじめられた子供と両親の演じ分けが利いて最後はしっかり着地。
談春さんの「小言幸兵衛」、常識家が狂気へとのめりこんでいく具合がいかにも絶品。登場人物それぞれに力があって、ぶつかりあって、てこでも動かない力量にほれぼれ。
志の輔さんは新作「親の顔」。子供の答案の珍回答に、初めは怒りつけるはずだった父親もついつい納得させられていくお話。新作ですが古典のような、いつの時代にあってもおかしくない味わい深い設定です。表情だけをたっぷり間合いで見せたり、いろいろな笑いを盛り込んであって、笑いどころたっぷり、聞き応えたっぷり。
肝心の笑志さんは、お二人に比べれば芸が素直です。耐震偽装、ライブドア事件、お金第一の世相を受けてか、商いをめぐる二題、「つぼ算」と「井戸の茶碗」。特に「つぼ算」は、だまされる側の切迫感臨場感がリアルに伝わってきて、ぐいぐい引き込む力業。一方の、「井戸の茶碗」は途中、息切れしてしまったのが残念なところ。普通の人の、小心さを描くのが得意なようにも見受けられ、またそれで収まってしまうのが、師匠にとって物足りないところなのかも、と、私までついつい知らないはずの談志師匠の心中を慮る始末。
おっと忘れちゃいけない、だめじゃん小出さんのマイムとジャグリングも登場。いいアクセントになっていました。
「5月こそは師匠を呼びます」と意気込む笑志さんでしたが、さてどうなることやら。
「CMのあとに衝撃の映像が!」みたいな引っ張り方ですが、ここはひとつ、素直に、談志師匠の登場を期待して、次回も行ってみたいと思っています。

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