●2012/11/10.土入谷・英信寺 楠美津香・ひとりシェイクスピア
「LSD超訳薔薇戦争連続上演」超訳リチャード三世。
ひらりん
大通りから細いアプローチ。
薔薇戦争の巨大なのぼりが門まで続く。
境内はごく狭くすぐ入口。
奥のご本尊前に椅子を並べて少数精鋭の観客。
天井から、登場人物を一人ずつ筆書きにした短冊が、ひらひらと下がり、
金色に輝く本尊の前で、いつものゴージャスな金色の布を跳ね上げて
登場人物(一人だけど)が出入りするたび、ちらっと本尊や更に豪華な背景がみえる。
照明のスポットが、暗い本堂のあちこちを一瞬照らすのが、
英国王室の陰謀と裏切りと殺戮の物語にふさわしい。
舞台効果抜群。
悪魔のような王妃は捕らえた王に、彼の息子を殺した時の血染め布をみせて嘲り、
醜い姿に生まれついたリチャードの独白は地の底から聞こえるよう。
突然古いTVの?ギャグが台詞に紛れ込んだり、笑いが突然やってくるので油断できない。
いや、心の純粋な信心深いビジュアル系王は人に迷惑をかけまくり、
子どもたちの為なら何でもいたしますわ、という貞淑そうな貴族の夫人は、
結局、王の愛人になるし、全体がコメディなのかもしれない。
教壇のような台の左右に、赤薔薇、白薔薇を、状況に応じて刺したり、
薔薇を宙に放り投げたり、テーブル上の手ぬぐいや、扇子、メジャーなどが、実に効果的。
左右の長さが違う凛々しい金髪も、髪のさわり方で色っぽい女性にみえたり、
角度で変化するので、膨大な役を一人で演じて違和感がない。
観ている間は、舞台の迫力に、そんなことに気づかなかったけれど、
後から思い起こすと、隅々まですごいのだった。
LSDの本領は薔薇戦争にあり。必見です。
http://kusunoki-mituka.com/ |