●2012.1.12.木 紀伊國屋ホール
「待ってました!花形落語家、たっぷり語る」刊行記念&トークと落語の会
栗之助
著作に出てくる「花形落語家」の一人として登場する昇太師匠の落語と対談があり、
1500円というリーズナブルな入場料にもつられて、足を運んだ。
前座さんの落語の後、昇太師匠の爆笑古典落語『時そば』
(上方バージョン・二人でお蕎麦屋さんに行く「時うどん」スタイル)があり、対談タイムに突入。
「本当なら自分が顧問をしている立川流の噺家を呼ぶべきなんだけど…年末に家元が亡くなって、
どうしても思い出話でシンミリするから、自分の師匠を語っても、
絶対シンミリしそうにない昇太師匠を相手に選びました」
と吉川先生の人選秘話。
この対談がかなり楽しくて…亡き柳昇師匠が、エピソードの宝庫。
戦争が終わって随分時間が経っても「次にやる時は負けない」とたぶん本気で言っていたこと。
六本木で外国人男性に腕をからめるギャルを見ながら「見ろ、占領はまだ終わってない!」
と叫んだこともあったとか!
師匠が亡くなった時、世の中の人に春風亭柳昇という噺家がいたことを知ってもらうために、
昇太さんは「いかにしてワイドショーやニュースにうつるか」を考えたという。
そして、出棺の時に柳昇師匠の形見のトロンボーンで「消灯ラッパ」を吹いたのである。
人気落語家になった愛弟子が師匠の形見の楽器を吹きながら出棺を見送る…感動的な光景だったので、
各テレビ局の取材のカメラにバッチリその光景がうつり、繰り返しワイドショーで流された。
思い出すと、私自身もその映像を確かに見ている!
ちゃんと昇太さんの狙い通りになったのだから、これこそ正しい知恵の使い方というもの。
亡くなった後にも師匠孝行をしたなんて、さすが…。
昇太さんから「シリーズ本として次はトンデモ系落語家を集めて対談集を出したら?」という提案もあった。
候補としては川柳川柳師匠、月亭可朝師匠、柳家小三太師匠など。
「面白い企画だけど、たぶん新潮社じゃ出せないな…」という吉川先生のつぶやきが、おかしかった。
終演後、通常なら著者のみが入れる著作サインも、この日に限っては昇太師匠も並んで、
ダブルでサインを入れてもらえるという。
終演後、サインを待つ人の列が長い時間途切れなかったのはいうまでもない。
紀伊国屋ホールは、書店内ホールということもあって刊行記念にまつわる楽しい企画が
チョコチョコあるのが侮れない。
演芸や芸人さんにまつわる本が出たら、まずは気にしてみなければ!
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