土入谷・英信寺 楠美津香・ひとりシェイクスピア
「LSD超訳薔薇戦争連続上演」超訳リチャード三世  。

ひらりん
本多劇場「春風亭昇太独演会/古典とわたし」夜の部
カネコ
本多劇場「春風亭昇太独演会/古典とわたし」昼の部
小野田せっかく
本多劇場「春風亭昇太独演会/古典とわたし」昼の部
まなみ
「春風亭昇太独演会/古典とわたし」夜の部
あの小池
「よってたかって秋らくご‘12 
21世紀スペシャル寄席ONE DAY」 夜の部

ペタコ
銀座博品館「白酒むふふふふふふふふ VOL.7」
ぼん汁
下北沢440「メルシー兄弟と従姉」
じむ福
原宿クエストホール
「イッセー尾形のこれからの生活2012IN真夏のクエスト」

 岡町高弥

小劇場楽園
「モロ師岡&楠美津香/夫婦別姓コレクションふたたび」

弁十郎

よみうりホール「春風亭一之輔真打披露6月特別公演第一夜」
 栗之助

しもきた空間リバティ「渦29/鉄渦7」
お手紙(老猫介護を御主人に任せての御乗車)
ユウキ

しもきた空間リバティ「渦29/♡渦☆渦」
おおとめ月夜
しもきた空間リバティ「渦29/鉄渦7」
じむ福
「渦29」
渦スタッフhina
しもきた空間リバティ「渦29/◎渦」
つばめ(46年生まれ。西暦じゃないよ)
しもきた空間リバティ「渦29 /鉄渦7」
こみち
しもきた空間リバティ「渦29のススメ」
ひらりん
「池袋演芸場余一会・昼の部・柳家喬太郎独演会」
栗之助
鈴本演芸場夜席「春風亭一之輔真打披露興行初日」
栗之助
「桃月庵白酒独演会 白酒むふふふふふふふ vol.6」
豊島ありんす
成城ホール「あったか落語、ぬくぬく」
ぼん汁
下北沢「劇」小劇場「オオタスセリ★台本劇場/新作コント劇場」
レディーガガ蛾次郎
渋谷クラブクアトロ
「ハッチハッチェルバンド・ワンマンショー」
加藤カチント
紀伊國屋ホール「待ってました!花形落語家、たっぷり語る」
刊行記念&トークと落語の会
 栗之助

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●2012/7/30.月小劇場楽園
「モロ師岡&楠美津香/夫婦別姓コレクションふたたび」
弁十郎

[本文]
すごいものを見た気がする。
以前、とても怖い映画を見て、体のいつもと違うところに鳥肌が立ったことがあるけれども、
今回は思わぬ部分、あるいはしばらく忘れていた“場所”から笑いがこみ上げてきたようだ。

一人でコントや「サラリーマン落語」、また俳優としてスクリーンや
画面がぐっと引きしまる存在感を放つモロ師岡さん(『渦』でも演じた、
感情の変化や体に受けたダメージをつぶさに語りながら試合を続けるボクサーは圧巻だった)。
同じくコント、そして一人でシェイクスピア、泉鏡花作品などを連続上演している楠美津香さん。

この“別姓夫婦ライブ”がどうなるのか、事前にさまざま思い浮かべたのだが想像がつかない。
それぞれのライブで夫婦仲についての話題は出ていたけれども、あくまで舞台上でのことだ。

たしか結婚当初、『ラジオビバリー昼ズ』にゲスト出演したご主人が、
交際のきっかけやデート中の話題、家での会話などについて語り、
そのすべてがおたがいの(コントの)ネタがらみであることを高田先生に鋭く指摘されていた。
数年前、奥さんがあるライブで「最近、娘が部屋を閉め切って一人コントをしているんです。
絶対に入っちゃダメと言われているので、声だけ聞いていたら“この拳銃、お母さんからもらったの。
バーン!!”って、何だかすごく面白そう」と、やはりコントがらみ……。
結局、想像するのをあきらめ「実際に見なければわからないだろう」と、当然過ぎる結論を出して下北沢へ。

開演前から、2人のトークが始まっていた。
モロさんはまっすぐ前を見ていることが多く、美津香さんは時折ご主人に
視線を送りながら日常のこと、これから始まる内容などを語る。
笑いをまじえながら、でも適度な緊張感と一緒に、何となく油断の出来ない雰囲気が漂う。

開演、まずモロさんの“リストカットする芸人”。
巡り合わせなのか、大切に練り上げているからなのか、この演目と出会うことがたびたびある。
しかし、単にくり返し演じられている印象はない。
いつも新鮮というより、体の具合と生活に苦しむ芸人さんが「食えませんよ〜」と言いながら、
今夜もまた登場した感じだ。

続いて美津香さんは、演歌1曲流れる間に和服の着付けを終える高速の“逆ストリップ”から、
有閑で日傘をさし、東京へ出かける『軽井沢夫人』へ。
直前にモロさんが「いきなり、これか」みたいなネタを出したのに遜色なく、
東京の路上で次つぎと起こる出来事に立ち向かう姿は、一人芝居での蓄積が相乗効果を生み、
いっそう迫力を増した気がする。

それぞれのレパートリーの次に始まったのが、女医と患者の2人コントだ。
「どうしました?」
「眠れないんですよ」
「あたしも」
「え」
等々、それだけでもかなりのレベルでやりとりが続くのだが、
間もなく大セクハラ合戦(言葉のアヤです。実際はそれ以上)が展開しようとは、誰が想像していただろうか。
女医の方から「初心(うぶ)なネンネじゃあるまいし!」が飛び出した瞬間が最高の盛り上がりだったと思う。
何という夫婦だろう。
さらに、何でも出来そうな可能性まで感じさせる。

最終コーナーはモロさんのギター弾き語りのあと、美津香さんも加わったのだが、
ここで近松(門左衛門)に出会うとは思ってもみなかった。
「此の世のなごり。夜もなごり。死(しに)に行く身をたとふれば」……
『曽根崎心中』より「道行」の一節が、懐かしいポップスのメロディに乗って、
ギターが激しくなるにつれて歌い手も劇的にシャウトする。
近年、質の高いパロディに飢えている身にとって、バンザイしたくなるような嬉しいエンディングだった。
(『曽根崎』のアイデアはもしかしたら……と思っていたら、
やはり楠美津香ライブで歌われていたものと後で知った)。

予測不能だったライブは一見、正攻法のメニュー(項目として)で進行しながら驚きと笑い、
そしてドラマの連続。まさにライブ。
それを伴走するように支えていたのは、別姓夫婦の間に通い合う強いコミュニケーションだったのかもしれない。

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