●2012/4/28.土夜 しもきた空間リバティ「渦29/鉄渦7」
お手紙(老猫介護を御主人に任せての御乗車)
ユウキ
前回の「渦28.鉄渦6」以来、下北沢を訪れました。
ほんの半年ぶりなのに、まるで生き物のように変化を見せてくれていました。
駅前の工事用フェンスとその前に集う人々の姿は変わりなく…人の波間を縫って歩いていると、やはりここはまだ若い街だな、と思わせるものがありました。
人という血液のながれる、若い人体、これからまだまだ成長を続けていく、いい方向にも、その反対の方向にも…
きっと、木村さんのような方々の尽力で、笑いというビタミンを栄養として与えられて、この街は、ずっと健やかに、でも、いろいろなものをその家に吸収しながらも成長していく。
下北沢という街が好かれる所以が、少しわかったような気がいたしました。
さて、楽しみにしていた「鉄渦7」。
お三方がずっと続けてこられたのは、鉄道に対する愛情というものがあったからだとは思いますが、それにしても、ネタを考えるのは大変なこと。
鉄好きが来ているにしても、そうでない人も来ている。
ご贔屓の芸人さん見たさに、鉄道のことはわからないけれど足を運んでいる…そんな人のためにもわかりやすく、少しでも楽しく過ごせ、鉄の純度の濃い方々でもそれなりに納得のいく、そんな話を考えねばならない…
期待に応えるために、練りに練られたであろうお三方の話。
会を追うごとに、一抹の不安を抱えながらも、どうしても拝見したくてやってまいりました。
とても素晴らしい楽しい会でした。
おいしい日本酒も試飲させていただきました。
この会をずっと続けてくださることを、成長していってくださることを心より期待するとともに、お祈り申し上げます。
一番車両は、古今亭駒次さん。
なが〜い名前の駅名にまつわる落語。
当然の知識に裏打ちされた長い駅名、それに加えて、じゅげむ。
じゅげむも繰り返すことの難度に耳目が集まるところですが、そのあまりにも長い駅名はとても覚えて帰れませんでした。なんでしたっけ?
日本人ならばすぐに簡略化してしまうものですが、見事なまでに繰り返されていました。
流石JR、まじめですよね。
でも、最後の「…以下省略…」は、いい落ちでしたね。
コンシェルジュが常務している列車で、駅名のために「名前が長いために通過してしまいました…」もナイスでした。
ありえないことですけど、乗客の様子が目に浮かぶようでした。
二番車両は、寒空はだかさん。
いつもながら、というよりゆる〜く、発車。
まるでヨーロッパのホームみたいに、ベルもなく、アナウンスもなく、静けさとともに特急列車が発車していくよう…
乗り遅れまいと駆け込み乗車を試みる人、諦めて次まで待つ人、それはいないにしても、不思議と人の目をひきつける「寒空はだかワールド」。
ふらりと行かれる旅の形態がお好きな方らしく、美しい車窓と郷愁をそそる駅舎の描写に始まり、途中怪談めいて話が進行してゆく、走馬灯のように、列車の記憶が眼前で展開されてゆく。
それを目の当たりにしながら、懐かしい車両は墓場へと進み停車する。
覚めた足でたどり着いた下北沢の改札。
再び硬券を手にしていたことに気付く。
夢の中であっても、それはまるで体験したことのように締めくくられる。
まるで古典落語を聴いていたようでした。
もう毎度のこととなってしまった「鉄ではない」の発言。
今回は少し変化球でしたが、そこを強調するということは、むしろ「鉄」であると強く言っているようなもの。
でも、映画との絡め方が強く、やはり鉄よりも映画の方がよろしいのでしょうか。
最後車両は、駄目じゃん小出さん。
幼いナオキ少年の一人旅。
幼い少年を心配する母の温かさ、出迎える祖父母の笑顔、それを包み込むかのように広がる雪景色、情景が目に浮かぶようでした。
お話されている小出さんのお顔が、まるで少年の顔に見えてきてしまいました。
はっと気付くと元の顔。
DVDも拝見しました。とても素敵な映像でした。
雪の中の車両が、とても郷愁をそそりました。
水上からの土地の描写もお見事。
まさにそんな感じですね、山を穿って造るから、自動車道でもそんな感じですが…
あと、同級生にJRの運転手さんがいらっしゃるなんて、なんて羨ましいことでしょう。
何度か見かけたことはありますが、「臨時」の列車に乗るなんて、とても素敵な体験でしたね。
フリートークも、とても楽しいものでした。
次回の「鉄渦」も楽しみにしております。
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