●20126/7.木 よみうりホール「春風亭一之輔真打披露6月特別公演第一夜」
栗之助
今、伸び盛りで話題の人といえばこの人、春風亭一之輔さん。
寄席の披露興行を終え、ホール落語で、久しぶりに拝見することに。
特にこの日は立川流からのゲスト、談春師匠も並ぶので更にお楽しみ度アップ。
三三師匠は『たらちね』、談春師匠は『黄金の大黒』と、軽い味わいでおめでたい噺が二席。
談春師匠の落語に出てくる「口がうまく回らなくてお祝いの口上が言えず、激しくどもっちゃう男」は、今はひょっとしたら電波とかには乗せられないのかもしれないなぁ。
一朝師匠は、お得意の歌舞伎ワールド全開の『芝居の喧嘩』。
二ツ目の時に歌舞伎座で笛を吹くアルバイトをしていた師匠。
六代目中村歌右衛門丈の舞台でのびっくりエピソードが、歌舞伎好きのツボにはまる。
高齢で耳が遠くなり普通のプロンプトだと聴き取れない大成駒、
イヤホンを耳に入れて無線で台詞を飛ばしてもらったら、歌舞伎座の近くを走っていたパトカーの
警察無線を受信してしまい、つい「了解!」と言ってしまったとか!本当かな〜(笑)。
仲入後はいよいよお楽しみの口上。
三三師匠が司会。
隣に談春師匠、一之輔師匠、一朝師匠、市馬師匠と並ぶ。
市馬師匠が「一之輔さん」というところを、ちょっとかんで「一之輔たん」と言ったところを、すかさずツッこむ談春師。
こういうところの反射神経の良さは、さすが!
三本締めの音頭も、落語協会副会長の市馬師匠の予定が「めったにない機会ですから」と談春師匠にバトンタッチ。
協会の新真打のお祝いで立川流の噺家さんが〆るというのも、ちょっといい光景だ。
市馬師匠は『山号寺号』。
「〇〇さん〇〇じ」という言葉を見つけたら若旦那から祝儀をもらえる幇間の一八。
パン屋さんを見つけて「クロワッサンパリの味」とか、この落語の時代設定はいつなんだ(笑)。
「談春さん肥満児」「三三さん問題児」「一朝さん芸ひとすじ」「市馬さんオンステージ」など、出演者を盛り込んだ山号寺号。
市馬師匠にしては珍しく、寄席の踊りも披露…高座の上に立つとさらにデカいなぁ。
トリの一之輔さん。「よみうりホール、ここから見ると大きな便座みたい」
「高座に立った市馬師匠がまるでガリバー」という問題発言(!)からスタート。
確かにこのホール。両脇のスロープ部分にも座席があるので、高座からは独特の形に見えるかも…。
蜀山人の狂歌のマクラから『青菜』へ。
旦那からコップを渡されて、つい望遠鏡のようにして遊んでしまう植木屋。
そしておかみさんは「タガメ」ですと!?よく思いつくな〜こういうクスグリ。
彼は他の人がスルーしてしまうような中に、面白さのタネを見つけるアンテナがある。
発想が「どっぷり古典落語」ではないのが逆に強みなのかもしれない。
なんだかもう、立川流だからとか落語協会だからとか関係なく、古典落語でイキのいいトップグループの人がここに集まってます!という印象の会。
たくさん笑った後、有楽町のガード下で飲んだビールがことのほか美味しかった。
まだまだ続くホールでの真打披露興行、一之輔たん、がんばれ! |