|
05/05/10よみうりホール「第13回東西落語研鑽会」
にしき
今回、演目も出されていなかっただけに、一席ごとの期待感もさることながら、目の前には一人ずつしか現れないのに言葉で絡み合う5人の出演者に、「次は?次は?」とワクワクしながら見ていました。
この日の落語をもしもCDにするなら、絶対に会全部をトータルで収めてほしい。
「落語“会”ライブCD」どうでしょう?
トップバッター、梅団治さん。
「私の後はテレビで見たことある方ばかりで・・・」と始めて「黄金の大黒」へ。
東京のとはまた違って、「な?」と同意を求める「よっさん」が可愛らしい。
上方言葉にどっぷり浸った後は、江戸前の花緑さん。
関西での落語会の体験談、そして
「落語会もカーテンコールがあっていい。トリの昇太兄さんが終わったら、みんなで二拍子の拍手をしましょう」と提案。
噺は、パワフルな「ちりとてちん」。
続く文珍さんは、いきなり「今日昇太さんは“寝床”をやります」
え?言っちゃうの?でも楽しみ。いろんな気持ちが入り混じって、客席は「お〜」。
当の文珍さんはと言うと、何を演やろうか迷った末に、油断できない“くすぐり”満載の「七度狐」。
鳴り物も賑やかに、爆笑のうちにお仲入り。
ここでもう2時間経過です。
さて後半。志の輔さんは一体何を演るのだろうと思っていると、出てくるなり「明治大正のころにおきましては、義太夫というものが盛んでございまして・・・あ、これは“寝床”のまくらでした」ドッカーン!!
最近の出来事と、思い出に残る結婚式のスピーチをまくらに、どっこまでもかみ合わない“フツーの夫婦”の噺「はんどたおる」。
爆笑に告ぐ爆笑。
さあ、いよいよトリ、昇太さん。
盛り上がるだけ盛り上がって、もう客席は期待感いっぱいです。
「も〜」という表情で登場、「タイガー&ドラゴン」の話から、先日の独演会のときに語った「落語家漁民説」で新作への思いを熱く語りました。
ネタ出ししない会のはずが、来てみたらパンフレットには「古典をやるだろう」と書いてある。文珍さんは「寝床」と言っちゃう。もう「寝床」しかできない状況に、「こんなことじゃあ僕の良さは生きないんです!!(上の方に向かって)そうですよね!師匠!!」
おもむろに袴と着物を脱ぐと、その下には赤に白いラインのSWAのユニフォーム!!
「寝床」への期待をみごとにひっくり返し、噺は「人生が二度あれば」へ。
どうだといわんばかりにひざを立ててポーズをとれば、なんだかSWAの公演のよう。
幕が下りると客席は迷うことなくカーテンコール・二拍子の拍手。
幕が上がり、昇太さんに呼ばれ、私服姿の出演者総登場。
「こういうときにうまいのがこのおっさん」とマイクを向ければ、
志の輔さん「“寝床”ってああいう噺だったんだ」
梅団治さん、戸惑いながら「うれしいです」。ほんとにうれしそう。
文珍さんが「これは恒例にしないで」と言えば、
花緑さんが「これから恒例にしましょう」。
昇太さん真ん中で「あらあら」の顔。
三本締めが流れてしまったのは残念だったけど、興奮のうちにお開き。
出演者みんな芸人魂爆発で、昇太さんを肴に、前の人の波が次々に大きくなっていきました。
それをずっしり受け止め、投げ返した昇太さんもすごい。
この会に居合わせた幸せ。
昇太さんの「寝床」は、またいつかの楽しみにしたいと思います。
top |