しもきた空間リバティ 「絹9」

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しもきた空間リバティ「絹9」
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紀伊國屋ホール「林家たい平独演会初夏」
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新宿紀伊國屋ホール 「林家たい平独演会 初夏」
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国立演芸場「三宅坂で乱歩。」
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05/04/29 国立演芸場「三宅坂で乱歩。」
木村万里

緑の日に、怖い物語を聞きに、いっぱいのお客様がいらして満員御礼の会場。
怖いものみたさということでしょうか。
サブタイトルに「江戸川乱歩的な落語の会」と「的」が入っておりました。
本格的に、乱歩作品だけをネタおろしの会とマニアに思いこまれたら大変・・・というエクスキューズ。
チラシが素敵です。
落語っぽくない字体とイラストのレイアウトが一般人の興味をそそります。
・時松「子ほめ」さわやかに。
「栴檀は双葉より芳し」を「洗濯物は二晩で乾くかな」と聞き違うのは何度聞いてもおかしいですね。
よくできてます古典ギャグ。
・入船亭扇治「心理作戦」
「今日はお天気よすぎて、『三宅坂で乱歩』より『湘南で赤川次郎』ですね」がナイス!
同期で前座時代を過ごした白鳥さんの「着物袖たたみ」のエピソード。
志ん馬師匠から「急ぐから、ソデダタミで」と言われ、わざわざ舞台のソデへ着物を持って行ってたたんでいたという爆笑編。
扇橋師匠はオカミさんともども、お酒は召し上がらないそうで、お酒のよしあしがわからないオカミさんが雪中梅を料理酒として鍋に注ごうとしたそのとき、「殿中でござる」ならぬ「雪中梅でござる」とトメに入ったというエピソードに、シーンが髣髴として笑います。
こういうミニ実話はほんと楽しくなりますね。
本題の「心理作戦」もよくできていました。
単語から何を連想するかで、酒を盗み飲みしたかどうか、嘘を見破る心理テスト。
ひっくり返しがあるところが、さすがミステリー。
・馬桜「人でなしの恋」
後ろのふすまに龍の絵があるのを、タイガー&ドラゴンの先取りでしょうか?とマクラをふってドラエモン話に。
人形つながりで、本編へ。
場内の灯りを落として、三味線、唄入り落語。
蔵に保管された人形の妖気に嫉妬する妻。
赤茶けた灯り、落とし戸、血潮の海、乱歩の世界。
「カドノも私もその人形にあやつられていたんですねえ・・・」
明転して、お客様の気分を明るくすべく奴さんを踊って、お後と交替。
・歌武蔵「人間椅子」
そもそもこの会は去年の秋に池袋演芸場で企画された公演がヒントになったものだったのだとか。
そのときは、白鳥さんが高座にかけたネタを本日は歌武蔵さんが。
出て来て第一声「ただいまの協議について・・」にまず笑いが起きて、得な見た目。
歌武蔵さん、元相撲取りだった風格が、物言いで土俵に立つ親方を連想させる。
白鳥さんの落語は、声に出して稽古するのも恥ずかしいと言いながらも、相当面白く力演。
「この恐ろしい話は1本の電話から始まりました」で始まる、このそもそものセリフが恥ずかしい、と大きな体をよじる歌武蔵さん。
なるほど、落語にはこういう始まり方はないですわねえ。
書き言葉のような始まり方の新作落語を白鳥さんが作るのは、元童話研究会所属ということが大きく関連しているらしいです。
手作り家具の店、サイトウマゴロク商店にきた椅子の注文とは・・・?
注文主であるお嬢さんの白い肌を形容するのに「山崎のダブルソフトにマシュマロをはさんだような」の比喩。
オチがまた効いていましてね、拍手喝采。
・喬太郎「赤い部屋」
自らのミステリー遍歴を語りながら本編へ。
黒い着物にベージュの羽織、妙な合わせ方だと思っていたら、灯りが消えた舞台に羽織を脱いで黒い着物姿が乱歩舞台になりました。
「あくび指南」の本質をここへ持ってきますか、と唸りました。
「粋だとか野暮とかにも飽きちまったよ」という赤い部屋の人たちは、落語「あくび指南」の人たちよりも、「退屈」にも飽きている度合いがさしせまっています。
喬太郎の独壇場。
銃音も入り、シーンとなった客席に灯りが入り、間があって、「ご退屈さまで」で終了。お見事。
・円丈「?」
今までやってきた新作落語を語って聞かせてくだすった。
高座殺人事件、壁掛け人形、金玉自殺、寄席にも奇妙な物語、ハナクソ豆・・・
末期癌ジョークを運転手に語るタクシー乗客。
末期癌患者ほど立場が強いものはない、ジョークを飛ばして「香典代わりに、笑え!」と強要するわがままにクスクス。
こういう刺激的な会にお客様が集まるのは嬉しいですね。
笑いと文学と恐怖をミックスさせて聞かせるなんて、よほどの力量がないとできぬこと。
落語の使い方が一挙に広がったようで、暗い話ながらも、気持ちは明るくなりました。

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