07/5/18. まつもと市民芸術館「志の輔独演会」
岡町高弥
5月18日、まつもと市民芸術館の記念すべき第一回の落語会「志の輔独演会」に立ち会えた。
まず、大ホールの扉を開いて息を呑んだ。
黒のトーンに統一された客席が美しく整然としている。
ややすり鉢気味の舞台だが最後部からも見やすい。
闇に浮かび上がるように、志の輔が登場し、「親の顔」と「井戸の茶碗」をたっぷり聞かせてくれた。
900人の松本の観客も質が高く、笑う勘所を心得ていて演者をのせていく。
正直者のぶつかりあいが昂じて「笑い」が生れる「井戸の茶碗」。
ある種の狂気をはらんだ落語だが、観客の思いが志の輔の気持ちを動かしたようで52分間緊張感が途切れなかった。
思わず、「また来週来ます」といった志の輔の口をついて出た言葉もあながち冗談ではなかったように思う。
音の反響が、驚異的に素晴らしい空間、完璧な闇が作り出せる照明、オペラや芝居だけのものにしておくのはもったいない。
ぜひ、「志の輔四季の会」を実現させてほしい。
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