07/4/28. 両国シアターX
「マルセ太郎メモリアルシリーズVol.3花咲く家の物語2007」
岡町高弥
松元ヒロが舞台に登場し、
「今年はマルセさんの7回忌です。わたしがマルセ太郎さんを演じます。
マルセさんの服もぴったりです。マルセさんは少しがに股で帽子をかぶり」
と手を上げた瞬間、不意に涙がこみ上げてきた。
マルセ太郎そっくりというより、松元ヒロがマルセ太郎本人に見えた。
4月28日、両国シアターXにて「マルセ太郎メモリアルシリーズVol.3花咲く家の物語2007」(作・マルセ太郎、演出・永井寛孝)を観る。
「花咲く家の物語2007」は金沢郊外に実在した知的障害者のグループホーム「若人の家」を個人で営んでいた小杉夫妻をモデルにした物語だ。
6人のハンデキャツプのある青年たちからお母さんと慕われる、肝っ玉母ちゃんを矢野陽子が自然に演じる。
彼らを一人の立派な大人として扱い喜怒哀楽を分かち合う。
作者のマルセ太郎の視線はあくまでも優しく、「誰にでも幸せに生きる権利はあり、国はそれを補償する必要があるんだ」と力強く教えてくれる。
哀れみや同情ではなく、「他者とともに生きるとは何か」をこれほど考えさせてくれる芝居はない。
「死ぬことも含めて人生なんだよ」という矢野陽子のセリフが忘れがたい。
青年たちを演じた永井寛孝、瓜生和成をはじめとする役者たちが皆いい。
笑わせて泣かせて考えさせる、「マルセ喜劇」の真髄を見たような気がする。
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