●2017/7/12.水 下北沢ザ・スズナリ「燐光群/湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.
(土、日除ク)/作・深津篤史、演出・坂手洋二」
岡高町弥
アフタートーク出演からはや一年、燐光群を下北沢ザ・スズナリにて。
珍しく坂手洋二がオリジナルではない作品を演出する。私は全く見たことがなかったが、大阪で「桃園会」を主宰、1998年に岸田國士戯曲賞を受賞しながら2014年に46歳で早逝した深津篤史を坂手は選んだ。
開演前に坂手演出による登場人物が皆アイドルの名前であることなどが説明される。佐良直美がリスペクトされているところも芝居の絶妙な暗喩になっている。
場面は、高架下を見下ろすマンションの部屋だろうか。
ヒデキ(東谷英人)、ヨシオ(杉山英之)、マサコ(橘麦)、ナオミ(高野ゆらこ)、カツユキ(荻野貴継)、ミキ(高木愛香)、ヒデミ(田中結佳)、セイコ(和田光沙)、ゴロウ(山村秀勝)、トモミ(宗像祥子)と名乗る若い男女のエロチックな日常風景が淡々と描かれていく。
月曜から金曜までの毎朝4時のスケッチ。どこか現実感がない。上手に置かれた水槽の金魚が曜日を追うごとに増えているのがリアルな肌触りだ。生きているのか死んでいるのかわからない若者たちの性。
坂手作品とは明らかに違う浮遊するような感覚が全編に溢れている。
裸に近い男女が映し出されるラストが美しい。生と死のすれすれをいく日常。
死者たちへのリスペクトを込めた作品として演出した坂手洋二の構成が見事だ。
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