●2017/4/20.木 花園神社「水族館劇場/この丗のような夢(作・演出、桃山邑)」
岡町高弥
新宿で二時間ちょっと幻を見たような気がする。
漂流する劇団にして最後のアングラテント芝居と呼ぶにふさわしい水族館劇場の3年ぶりの東京公演を4月20日花園神社で体感。
とにかく、三百人の観客に驚く。超満員。しかも老若男女、おしゃれだ。
時代が過ぎて一周回って水族館劇場が最先端になってしまった。
幕前から野外劇で零戦は浮かび役者が走る。観客が多過ぎて客入れだけで30分。すべてが芝居がかっている。「この丗のような夢」(作・演出、桃山邑)は、戦後闇市の新宿の歴史と旅芸人、政治的亡命を余儀なくされた都会の舞台女優が遭遇し、すべてを操る黒い翁と作家の戦いを描いた一種の活劇だ。筋を追うよりも目の前の舞台が破格。十数トンのおびただしい水と役者が格闘し最後は二つの飛行機が舞い上がる。サーカスを見たようなカタルシス。新宿でこんな時空を越えた劇場が出現したことを喜びたい。マルセ芝居の常連だった一色涼太や元宝塚雪組男役の南海里が舞台を盛り上げる。
なんという贅沢、まさに舞台の醍醐味とは水族館劇場の芝居に尽きる。
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