●08/11/25. 長野県駒ヶ根市/安楽寺「第九回 柳家喬太郎独演会」
まかしょ
場所は長野県駒ヶ根市の安楽寺というお寺。
主催は「喬太郎を駒ヶ根に呼ぶ会」
木戸銭は大人1000円、子供500円。
いわゆる地域寄席。
駒ヶ根市の人口はおよそ3万人。
その1%、300人が観客。
東京の人口に換算すると、12万人!
凄いイヴェントです。
駒ヶ根の人々は、年に一度のこの落語会を楽しみにしていて、
座布団持参でお寺に集まります。
お寺だけに線香の香りが漂い、高座の真後ろには仏像が鎮座。
床暖がぽかぽかしてとても快適。
19時、会長の挨拶で開演。
19時5分、出囃子が本堂に鳴り響きます。
喬太郎師登場。
仏像に頭を下げ、高座へ。
新宿からあずさ、飯田線を乗り継いで来たことや、
自分が今まで聞いた記憶に残るアナウンスのマクラ。
どかんどかんという笑いが本堂にこだまします。
自分もそうですが、
マニアックな落語ファンとは違うリアクションがとても新鮮です。
金ピカの仏像を背負った師も新鮮に違いありません。
19時25分「うどんや」に入りました。
11月も末、もうそんな季節なのだと実感。
寒そうに背中を丸め、街を歩くうどんやの描写が見事。
この噺を聴くのは初めての人がおそらくほとんど。
師のうどんをすする演技に拍手が…
そして、「芸が細かいわね!」という声も聞こえてきました。
19時52分、仲入り。
師の独演会は2席目の演目の推理をするのが密かな楽しみ。
今回頭に浮かんだのは「文七元結」と「心眼」
というのも、去年のこの会では金明竹の後、「子別れ」をやったので、
ここでの2席目は人情噺かと思った次第。
20時3分、出囃子が鳴りました。
道楽者のマクラ…
これはひょっとして…
そして…
「文七元結」
佐野槌で女将さんが長兵衛を諭す場面では、会場が静寂に包まれました。
吾妻橋の場面。
「(50両を)オレだってやりたくねえよ!」の台詞で、
師の目に光るものが見えました。
涙をハンカチで拭う女性の姿も…
柳家喬太郎、渾身の「文七元結」
嵐のような拍手でした。
高座を降りた師は仏像に一礼。
最後はご住職の挨拶。
シャレの分かる素敵な方です。
ここの落語会に来ると、落語に対する思いがリセットされます。
それにしても、駒ヶ根の人々は幸せです。
東京ではチケットが取りにくい喬太郎師を、
1000円で2時間たっぷり聴けるのですから。
また来年も行くつもりです。
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