●08/10/31.金 博品館劇場 落語版源氏物語「空蝉」柳家喬太郎
まかしょ。
開口一番、小んぶさん「道具屋」
喬太郎師、10分程のマクラから、
「オーイ、ミナモト!(源)」
この一言で客を鷲づかみにしました。
現代に置き換えた「源氏物語」の始まりです。
「源氏物語」は「ロイヤルポルノ」と言われます。
喬太郎師の「空蝉」は、「ロイヤル」ではありませんが、まさしく「ポルノ」。
ご本人が宇野鴻一郎の世界というように、かなりエロチックな内容でした。
仲入り後の第一声は「あんなの源氏じゃねえ!」
またしても客を一言でつかみました。
そして、話を作る過程をマクラに振り始めたのです。
平安時代でやったら、「おじゃる丸」だし…
ホストの世界に置き換えようか…
もし、光源氏が、江戸時代にタイムスリップしたらどうなるのか?
初めは二席目のマクラかと思いました。
しかしこれが、二席目「源氏物語」の始まり。
光源氏が突然、落語世界の長屋にやってきます。
大家さんは、長屋の連中に彼は光源氏だと説明。
しかも、自分達は落語世界の登場人物で、噺家が喋るから存在すると説きます。
これが元落語ファンで現在噺家の、喬太郎師の落語観なのでしょうか?
さらに大家さんは、光の恋愛観に疑問を呈し、
彼に落語の世界の男と女を見せます。
「崇徳院」「幾代餅」「芝浜」「純情日記横浜編」「肥辰一代記」…
次々と展開する喬太郎ワールド!
喬太郎師が「源氏物語」を自分のフィールドにたぐり寄せたのです。
10月26日の「さん喬 喬太郎 親子会」の対談でこんなやりとりがありました。
喬太郎師「オレ、つぶれかけてるんです…」に対し、
さん喬師「つぶれかけてると思うこと自体が傲慢なんだよ!
つぶれたら、また作り直せばいいんだ!」
この一言が喬太郎師の背中を押したのかもしれません。
元々、編集者の感覚を持ち、客席から自分の姿を観ることができる喬太郎師。
「空蝉」を長いマクラと捉え、「源氏物語」で客を気持ちよく送り出せばいい!
この独演会を「源氏物語特別増刊号」と考えたのかもしれません。
そんなメッセージを喬太郎師から受け取った気がした落語会でした。
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