●08/11/8.東京グローブ座「昭和島ウォーカー」
三谷潤一
3階席でしたが、カーテンコールのときにみんな本気で拍手してるな、って感じました。
隣にたまたま座っていらした私より年下の男性はお連れの方に開演前、寝不足を訴えていたようで前半少し舟を漕がれているご様子でしたが、やっぱり一生懸命拍手されてました。
こういうのってきっと舞台に立ってる方もわかることなんでしょうね。
主演の井ノ原快彦さんが誇らしげに見えましたよ。
終演後、出口に向かいながら聞こえてきた声は
「これ、ホンがむっちゃくちゃ良くない?」という若い女性独特のイントネーション。
混み合う通路の隣り合わせにいた若い男性はしきりに目の辺りを手で拭ってました。
通路もロビーも「良いもん観た!」っていう空気にあふれてました。
わずか2回しか本公演を観ていないのに断言するのもおかしいでしょうが、
明らかにヨーロッパ企画の公演でした。
人気劇団とアイドルや人気者とのユニット公演はいくらでもありますし、何度も観てます。
いつもの劇団らしくなくなってしまうことも少なくないです。
客が呼べれば中身はどうでもいい、って思ってるんじゃないかと疑いたくなることもあります。
どうしたって、そういう場合、主役メンバーに対して劇団メンバーは助演するような感じになるでしょ。
それが礼儀、というか、制作者や事務所の意向とかもいろいろあるでしょうからね。
宣伝チラシやパンフレットの名前や扱いの大きさはやっぱり違ってました。
だから、楽しみな半面、ちょっと心配でもありました。
ところが、始まっちゃったら関係ないんですよ。
いつものヨーロッパ企画のメンバーが相変わらずの会話を繰り広げてました。
客席も誰の科白であろうとおかしければ笑うんです。
お目当ての役者さんしか認めない!っていう空気が全くと言っていいほど感じられませんでした。
普段のヨーロッパ企画にいつもと違うメンバーが包み込まれて溶け込んでるように見えました。
だから、妙な気負いが見えないんです。
これ、スゴいことですよね。
意外だったのは、ちょっとじーんとしてしまったことです。
まさか、ヨーロッパ企画で泣かされるとは。
親子ものはズルいです。
相変わらずのばかばかしさで笑わされながら涙腺にきてました。
くだらなくって緻密な作り。
器が大きいので、仕掛けもいろいろ。
またこれが思い出すだにおかしい。
タイトルの意味も観ればわかります。
でも、観てない人にはこんなことすら余計な情報かもしれません。
それが、ヨーロッパ企画の公演のつらいとこ。
観た人とはホントふりかえって語り明かしたい面白さ。
語り明かす、ったって、ただ反芻するだけなんですけどね。
でも、きっとお互いに気がついていない面白さとかありそうな気がするんですよ。
観ている位置によっても違うかもしれませんしね。
心配があるとすれば、これで人気が上がると本公演のチケット取るのがますます大変になっちゃうかもしれないってことです。
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