●2016/10/17. 下北沢ザ・スズナリ
「プレオム劇プロデュース第一回公演/片鼻/中島淳彦作演出」
岡町高弥
秋の夜長にとびきり素敵な喜劇を見た。
10月17日、下北沢ザ・スズナリで上演された中島淳彦作、演出、プレオム劇プロデュース第一回公演「片鼻」に足を運ぶ。女性だけの芝居を続けてきたハートランドがプレオム劇に生まれ変わった。
昭和の風景を思わせるタバコ屋には40才を過ぎた花子(小林美江)が親戚の娘と暮らしている。
折しもタバコ屋を畳んでアパートに作り替えようと建築事務所の京子(福島マリコ)が現れる。
タバコ屋は街のたまり場らしく千客万来だ。
同級生の惠子(馬場奈津美)とは同じ結婚相談所に通い互いの傷を舐めあっている。
そんなタバコ屋に謎の日系ブラジル人(伊藤亜沙美)や母親とそっくりの伯母(大西多摩恵)がやって来て、家のリフォームは混沌としていくばかり。その一方で、気の進まない花子の見合いがなぜかトントン拍子に進んでいき、幸せになるのかと思いきや。
サンバのリズムで笑わせてしんみりさせて最後に泣かせる喜劇のツボを中島淳彦はよく心得ている。
花子の結婚話を助けようとすればするほどかき回していく近所のおばちゃん鶴松富士子を矢野陽子が好演。気配と間合いで笑わせるあたりは、名喜劇女優と言っても過言ではない。
軽妙な会話のやりとりやちょっとした仕草に懐かしさを覚える芝居が多かったハートランドだったが、プレオム劇に変わって更に進化した。この路線を貫いていって欲しい。
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