●2016/10/5.水 かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
「清水ミチコ30th Anniversaryひとりのビッグショー」
岡町高弥
デビュー30年全国ツアー。
その昔、渋谷ジァン・ジァンで見始めたのは20年以上前。
楽屋で今は亡き大瀧詠一がダメだししていたのをよく覚えている。
清水ミチコの魅力はやはりたぐいまれな観察眼だ。
オープニングの映像が抜群だった。清水ミチコのお母さんが現れミチコがいかに病弱だったか虚弱だったかを語り、清水ミチコ本人がスランプを語る。しかし、今は「ペプチドコンドロイチンセサミン配合の青汁」を飲んで健康になり運気も開け、借金も返済し家電も直ったと。
もちろん、映像のお母さんも偽物だが、このフェイク感は名人芸。誰かイカサマCMのパロディーをやってくれないかと常々思っていたが、清水ミチコがやってくれた。
オープニングは森山良子の歌で振り返る文春スキャンダル。
「1月ゲス極」で始まり「10月ゲス極振り出しに戻る」。
旬の小池百合子をちょいちょいだしては笑いながら怒るという特長をうまくつかんでいる。
後は、お馴染みのユーミン、瀬戸内寂聴やアイドルメドレー、作曲分析などあっという間の2時間40分。常に旬のモノマネで挑戦する。
松尾スズキと作った「歌のお兄さんとお姉さんはなぜかテンション高い」という名曲映像は悪意に満ちていて秀作だった。実の弟とのセッションや矢野顕子の「達者でナ」をたっぷり歌うなど清水ミチコワールド全開のライブだった。アンコールは恒例の誰もついてこれないアラビア語メドレー。
確かな批評性をエンタテインメントで隠し時おり毒を混ぜていく。
30年のキャリアは伊達ではない。虚実の皮膜をやすやすと潜り抜ける技量に脱帽だ。
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