●2015/1/11.渋谷パルコ「志の輔らくごinPARCO2015」
岡町高弥
今年10年目を迎えるパルコ1ヶ月興行、「志の輔らくごinPARCO2015」を見るべく1月11日、パルコ劇場へ。
たった一人で22回公演に挑む立川志の輔の孤独の戦い。
そのプレッシャーたるや余人の想像をはるかに越えている。
もはや、季節の風物詩といっていい志の輔パルコ。
節目の今年は何を見せてくれるのか、プラチナチケットを入手した観客の視線が高座に集中する。
今年の正月、スマホをなくし雪の中から見つかった 富山のマネージャーの騒動をおもしろおかしくまくらで語る。傑作なまくらの後にスマホとラインに振り回される悲劇を落語にした「スマチュウ」にさっと入っ ていく。高座に特大のスマホが映し出されラインで今の落語どうだったと見せるメタ落語の世界に仰天する。
二席目は「笑い」ほど千差万別、これほど難しいものはないとおびただしい数の小噺を聞かせた後に「三方一両損」。果たしてそのサゲは「笑えるのか」と落語そのものを批評する切れ味鋭い古典落語。
仲入り後、悲願の北陸新幹線に触れ、40年前12時間かかった富山、東京が何と2時間8分になると熱く語る志の輔。長野から富山が38分とは信じられないと言うと、「長野を過ぎて本気で走るんだろう」と切り返す志の輔母に拍手。
三席目は富山の薬売りがどうして誕生したかを新作落語にした「先用後利」。
置き薬を藩をあげて振興した富山の風土を余すことなく落語に凝縮した志の輔にしかできない落語であった。
最高峰の落語を三席、今年もたっぷり味わうことができて言うことなし。
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