●2015/2/24. 池袋芸術劇場シアターイースト「The River」
岡町高弥
青木豪の作る芝居にハズレなしというのが長年の持論だ。
果たしてイギリスの作品「The River」(原作・ジェズ・バターワース、翻訳・高田曜子)は青木豪演出でどうなるのか、その一点が見たくて池袋芸術劇場シアターイーストに駆けつける。
舞台は川の近くの山小屋である。
男(岡本健一)と女(鬼頭典子)がいるだけだ。
男は川釣りの説明に夢中、女は夕焼けの美しさに見とれて話がかみ合わない。
男は夜の川に蠢く魚たちを見せたくて女にその情景を説明する。
男と女は恋人なのか、ただの一夜限りの関係なのかわからない。
次の場面で行方不明になったと思っていた女(南沢奈央)が 現れる。
魚が釣れたと喜んで帰ってきたのだ。
最初の女と二番目の女は同一人物なのか、あるいは別人なのか、過去なのか、死者なのか判断できない。
物語は二人の女が交錯していく形で登場する。
女と男の関係は忘れたいような悲劇なのか、はたまた甘美な思い出なのか、どちらとも取れるようなエピソードも散りばめられている。
二人の女は結局、山小屋を去っていく。
過去と現在の間をさ迷う男の話かと思っていると第三の女(森尾舞)が登場して幕となる。
不思議な肌触りの芝居だ。現実が微妙に壊れていく感覚はどこかグリングの匂いがする。複数の解釈を要求する芝居。単純にカタルシスを感じさせない戯曲である。
見終わってからじわじわと沁みてきた。
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