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●2015/11/2.月 新橋演舞場
「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース／脚本・演出､横内謙介、演出・市川猿之助」
岡町高弥
絶大な人気を誇る漫画「ワンピース」には全く興味がなかったが、スーパー歌舞伎「ワンピース」の評判が見巧者の間で上々、意を決して見てみれば、これがまあ面白いのなんの。
今も連載が続いている「ワンピース」のエッセンス、海賊王になるための冒険活劇を忠実になぞりながら、歌舞伎ならではの荒事をこれでもかと詰め込んだ。
「白浪五人男」や「八犬伝」を思わせる場面もあって歌舞伎ファンもにやりとさせるようにできている。
とりわけ出色だったのが、第二幕「大監獄インペルダウン」と「ニューカマーランド」の場面であろう。
10トンの本水の中での大立ち回り､浅野和之を座長とするオカマ集団による大レビューは理屈抜きで楽しめる。度肝を抜かれた極彩色の躍りは圧倒的で目に焼き付いて離れない。
猿之助が激しい宙乗りで三階席まで駆け抜けた時は観客総立ち。
まさか新橋演舞場がミュージカル劇場に変わるとは思わなかった。この一体感はお見事というしかない。
第三幕の長い奪還劇の果ての挫折と再生は冗漫だったが、第二幕が優れていたので気にならない。
休憩をはさんで四時間半。役者も観客もへとへとだ。
ボン・クレーという強烈なオカマを始め､激しい三役を演じきった坂東巳之助はこの芝居の影の主役といっていい。皆が絶賛するのもわかる。さすが三津五郎の息子。中村隼人、市川右近、浅野和之も自在な芝居で盛り上げた。子供から大人まで楽しめるスーパー歌舞伎、この挑戦は大成功と言っていい。猿之助の奮闘の賜物とは言えまいか。
再演を待ちたい芝居だ。
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