●2015/11/1.日三越劇場「劇団若獅子錦秋公演
「中山安兵衛の青春ー安兵衛と姉きんー」作・杉山義法、潤色・演出:杉山義光、演出:笠原章
岡町高弥
これぞ痛快時代劇。前のめりになって時代劇を見たのは久しぶりだ。
ご存じ堀部安兵衛の青春時代、放蕩無頼に明け暮れていた中山安兵衛時代の物語。
堀内道場を破門になり心配して越後からやって来た姉きん(山本陽子)を追い返す安兵衛(笠原章)。
酒と喧嘩に無為な日々を過ごすまでが前半。
ナメクジ長屋の面々が南條瑞江、中條響子など猥雑な感じが上手い。
後半は義理の叔父と契りを交わした菅野六郎左衛門(桂広行)が窮地に陥る。
助太刀を求められた安兵衛は酒浸りで全く起きない。
絶体絶命の中、姉きんが現れ安兵衛を正気に返らせ決闘高田馬場へ。
大立ち回りの末、悪辣な村上兄弟を叩き斬り大団円を迎える。
観客全員ハラハラしながら舞台を見守る中、激闘の末、村上兄弟を滅ぼす殺陣はやはり惚れ惚れする。
この爽快感は他の芝居では味わえない。これぞ新国劇の醍醐味。
山本陽子の貫禄と芝居を支える脇役の面々が皆素晴らしい。
格調高い芝居を見せようという心意気が伝わってくる。
心踊る秋の夕べであった。
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