●2015/10/30.金 大手町よみうりホール「2015落語一之輔二夜」
岡町高弥
あまり相性の良くない大手町よみうりホール、いささか心配だが、春風亭一之輔ならなんとかするだろうと思い足を運ぶ。
まずは、林家たけ平がテンポよく喋る喋る。
あっという間に重たいよみうりホールを「梅島公民館」に塗り替える。
空気を20分かけて変えたたけ平の開口一番、構成の妙でありセンスがいい。
続いて一之輔が二席、「堀の内」と「短命」をメロディで聞かせる。
「堀の内」のお題目、「ようよう」と叫ぶ音が可笑しすぎ。時おり、一之輔の愚痴も混じって生々しい迫力となる。仲入り後は、柳家小菊が「粋曲」で盛り上げ、「百年目」につなぐ。
真面目一徹と思っていた大番頭が隠れてお大尽遊び、花見で出くわした旦那と番頭の胸中やいかに。
一之輔は旦那と番頭のやり取りを細かく演じる。
苦労して大番頭まで上り詰めた治兵衛の労をねぎらう旦那、その胆力の大きさを見せつける。
一方、治兵衛は使用人の哀しさか、怯え悶々とする。
二人を演じ分ける一之輔に風格が出てきた。
「百年目」は難しい落語だ。落語家が柔だと噺に潰される。さすが一之輔、なんなく乗りきった。
三年目は三夜になり、五年目は五夜の会になるという。大看板になる日も近い。
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