まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ まりしろ

 

 

 

 

なかのZERO小ホール「一之輔のすすめ、レレレ11」
岡町高弥
紀伊國屋サザンシアター「劇団民藝/光の国から僕らのために金城哲夫伝」作・畑澤聖悟、演出・丹野郁弓
岡町高弥
赤坂BLITZ「原田芳雄「19th×4Birthday Live風来去〜そろそろ芳雄の唄がきききたい〜」
岡町高弥
北沢タウンホール「ほどほど落語長屋 第三回」
岡町高弥
三軒茶屋パブリックシアター
「二兎社公演/書く女/作・演出、永井愛」

岡町高弥
シアターコクーン「元禄港歌−千年の恋の森−」
(作・秋元松代、演出・蜷川幸雄)

岡町高弥
「劇団SCOT/鈴木忠志の世界」
岡町高弥
北沢タウンホール
「高田文夫プロデュース/落語界うわさの真相」

岡町高弥
「だるま食堂単独コントライブ」
岡町高弥
吉祥寺スターパインズカフェ「寒空はだかリサイタル2015/トレース・デジャブ・ジェネリック」
岡町高弥
新宿末廣亭「第二回春風亭勢朝師匠と寄席を観る会」
岡町高弥
座・高円寺「お召し列車/作・演出、坂手洋二」
岡町高弥
しもきた空間リバティ「渦36/ゆる渦」
岡町高弥
東京国際フォーラムホールA「中島みゆきのコンサート」
岡町高弥
下北沢ザ・スズナリ「劇団ハートランド第19回公演/脚光を浴びない女」(作・演出、中島淳彦)
岡町高弥
新橋演舞場「スーパー歌舞伎Uワンピース/脚本・演出、横内謙介、演出・市川猿之助」
岡町高弥
三越劇場「劇団若獅子錦秋公演「中山安兵衛の青春ー安兵衛と姉きんー」作・杉山義法、潤色・演出:杉山義光、演出:笠原章
岡町高弥
紀伊國屋サザンシアター
「大正の肖像画/作:吉永仁郎、演出:高橋清祐」

岡町高弥
大手町よみうりホール「2015落語一之輔二夜」
岡町高弥

バックナンバー

笑いのかけら
情けのかけら

●2015/10/29.木 紀伊國屋サザンシアター
「大正の肖像画/作:吉永仁郎、演出:高橋清祐」

岡町高弥

中村彜(つね)という明治、大正の時代を駆け抜け、37歳の若さで亡くなった洋画家がいる。
まさに知る人ぞ知る画家だ。
その中村彜を自宅に住まわせて支えたのが新宿中村屋の創業者相馬愛蔵、黒光夫妻。
彼らを取り巻く群像劇を劇団民藝が芝居にした「大正の肖像画」である。
作者は評伝劇の名手吉永仁郎、演出:高橋清祐。
実はこの芝居は、中村彜と生前父親が親しかったO女史と見る予定だった。
絵画、美術に造詣の深いO女史と観ることを楽しみにしていたが、なんと女史が突然の交通事故に見舞われてしましった。残念でならない。
病床の女史に読んでいただくためにも心して舞台に臨んだ。
幕開けとともに中村彜のアトリエを忠実に再現した舞台が現れる。
さすが、民藝、舞台美術は超一流。
彜(みやざこ夏穂)と献身的に世話をする老女岡崎キイ(塩屋洋子)が「ちゃんとサバを食べろ、ご飯を残すな」と実の親子のように言い争いをしている。何とも穏やかな空気だ。
そこに、彜に今なお「かあさん」と呼ばれる相馬黒光(白石珠江)が現れる。
黒光によって運命が狂わされた彜が激しく動揺し、場面は中村屋時代に戻っていく。
中村屋はまさに芸術家のサロン、彫刻家の中原悌二郎(小杉勇二)が常に彜のそばにいて、二人は兄弟のように芸術論を戦わせる。
大杉栄(境賢一)や神近市子(河野しずか)、ロシアの盲目の詩人エロシェンコ(千葉茂則)もやって来て、大正時代特有の自由な空気が流れる。
主役はパトロンであり芸術家の母であり恋人であろうとする黒光。
若き黒光の娘俊子(印南唯)が中村屋に帰ってくると彜の気持ちは俊子へと傾いていく。
物語は16枚の絵画をスクリーンに映し出し、その絵が生まれた背景を芝居が物語る。
絵を持って語らしめる芝居が力強い。
やがて、中原は結核に倒れ、彜と俊子の関係は引き裂かれ失意のうちに彜は中村屋を去っていく。
大杉栄は神近に刺され、入獄と出所を繰り返し語学の天才となる。
ちなみに大杉栄は陸軍幼年学校3期生、彜の兄貴と同級生、彜は5期生だが二人とも、喧嘩と結核で幼年学校を追われる。
ひとりはアナキスト、ひとりは夭逝した画家。
しかし、生涯二人の関係は、幼年学校の先輩後輩というのがおかしい。
さて、大正が終焉を迎える直前。彜は最後の大仕事、キイをモデルにした「老母の像」の制作に取り掛かる。
あらゆる煩悩から解放され鬼気迫る表情で絵筆をとる彜、その姿は神々しい。
震災を乗り越え昭和を迎える前にこの世を去った彜と震災の最中、憲兵によって虐殺された大杉栄。
中原をはじめとする幾多の夭逝した芸術家の無念を舞台で晴らそうとした吉永仁郎の思いは痛いほど伝わった。
大正から100年、我々は大正時代より果たして自由なのかという思いは募るばかり。
相馬愛蔵を飄々と演じた伊藤孝雄をはじめ、役者全員、血肉の通った芝居だった。
民藝、近来の傑作と言っていいだろう。

 

 

 

 

 

 

 


このHPは、リンクフリーです。ご自由にどうぞ。


Copyright (C) 2013 marishiro 


inserted by FC2 system