6/26 「劇」小劇場 グリング「旧歌」
【 じゃんけんみたい 】
高野ガラス店主人45歳
小さな舞台の芝居を見たのは、随分久し振りです。
それだけに、内容に入っていけるかいけないか、
大きな分かれ目が出来るタイプです。
でも、面白かったし、少し考えさせられました。
人の出入りが激しくて、
それぞれが明確なイメージを抱えていて、
何となく問題も持っていて、
でもお互いを思いやったりしているんですね。
時代に取り残された造船所の行く末も、
その跡を継いだ娘と古参従業員の行く末も、
ややボケかかった母親の行く末も、
従姉妹の優柔不断な弟も、
何も解決しないんです。
解決しないけど、何とかなりそうな気配。
本当は皆シリアスな問題なんだけど、
きっと次のお祭りの時も、
同じ情景が繰り返されそうな感じ。
まぁそれは僕は「そうあって欲しい」と思うだけかも知れませんけど、
そう思わせるのは、登場する人達の力関係じゃないでしょうかねぇ。
みんなに対して絶対的に強い人も、悪い人も、弱い人もいない。
誰かに強くても誰かに弱く、誰かに厳しくとも誰かに優しい。
じゃんけんみたいです。
愛のある遠慮ってのがあるのかも知れませんね。
思いやるが上での遠慮。
インチキ臭い水商売のオーナーは、
舞台になる造船所の母親に優しいんです。
そこがこの芝居のミソにもなっているんですけど、
この人はカッコイイですよねぇ。
遊び人っていうのは憎めない。
憎めない遊び人が、本当の遊び人なんですね。
旦那の亡くした母親もステキでした。
昨日のことは覚えていないけど、
ずっと昔のことは何時でも甦ってくる。
この母親を悲しませないで欲しい!
そう思ってしまいました
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