6/18 千代田公会堂「柳家小三治独演会」
三谷潤一
主催者の「いのちの電話」理事の方が幕前でごあいさつ。
三三 「のめる」
小三治 「転宅」
中入り
三三 踊り
小三治 「居残り佐平次」
二階席だったのですが、真後ろで携帯の着信音が鳴ったんです。
鞄の中だったのか、こもった音でした。
消そうとされたんでしょうね。
着信音が大きくなってまた聞こえてきて、「ぴっ、ぴっ、ぴーっ」と電源を切った音が場内に響き渡ってしまったんです。
高座の小三治師匠はまくらを中断して
「誰か呼んでますよ。」
「鳴ると驚きますけどね、一番驚いてらっしゃるのはご本人です。
私も経験があるからわかります。今でしたらまだ大丈夫ですから今一度お確かめ下さい。」
という呼びかけに客席では携帯電話をごそごそ。
「こちらでもそうだと思いますが、どこに出かけてっても携帯電話の電源を切れって、うるさいでしょ。
こないだ、あるところでマナーモードにしてから電源をお切り下さい、って言ってて、これにはちょっと感心しました。」
何かの加減で切った筈の電源が入っちゃうこともあるだろうから、マナーモードにしてからの方がいい、という配慮に感心した、と。
会場から共感の拍手が起き、緊張感が緩やかになったところで、
「まぁ、いのちの電話ですもんね」
と笑顔の師匠に、わぁ〜っと笑いが起き
「何の話でしたっけ?ほ〜らね、忘れちゃうんですよ。あ、そうそう」
とまくらの続きに戻りました。
見事でした。
携帯の着信音へ、こんなに鮮やかな対処。
他に見たことがない。
鳴らしたご本人は触れられたくなかったんでしょう、
「しつこい」と最初は呟いてましたが、
「いのちの電話」に大笑いしてました。
いや、すごかったなぁ。
こんな場面を見せてくれたんだから、鳴らした方もエライ!というのは持ち上げ過ぎ、
というより根本的に間違ってるんだけどね。
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