花も実もあるパンク親父
高野ガラス店主人45歳
川柳川柳師匠の自叙伝、『天下御免の極落語』(彩流社刊)は、
天下御免というか天下無双というか、
これが七十を越えた人だろうかと、
目と耳を疑うパンクな噺家一代記です。
お父さんは石灰工場の発破係りで酒乱。
やっぱりねぇ、夜明けのラッパ吹きは筋金入りだったんです。
二つ目で大ブレーク。
かのマラゲーニヤです。
師匠である円生は、やっぱり面白くないんですね。
古典落語の王道を行く自分の弟子にこんな人がいて、
しかも売れていることが。
だけどここで「良いね」と支持してくれたのが、
かの名人・先代文楽!
噺家は、噺家である前に芸人なんですね。
芸人は世の中の逸脱者、ドロップアウトした人。
アナーキーでパンクな存在であるほど面白いですよね。
「こんな人が会社にいたら、即クビだな」とか
「どうやって暮らしているんだろう?」なんて思わせる芸人の方が、
そりゃ魅力的ですよ。
でも、ハイそうですかと実践出来るもんじゃない。
中途半端ほど見苦しいものはありませんから。
川柳師匠は現在では絶滅に近い破天荒な芸人だけど、
ただのめちゃくちゃ人生じゃないことが、
この本で分かります。
軍国爺にみえるけど徹底したアナキスト。
破門されても円生を慕っている一途な気持ち。
人間観察の鋭さ。
そして受けた恩を忘れない心根。
カッコイイですよ。
でも酒席はちょっと恐いけど・・・
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