●2017/8/30.水 新宿武蔵野館「ジム・ジャームッシュ最新作/パターソン」
岡町高弥
ジム・ジャームッシュと言えば、学生時代「ストレンジャー・ザン・パラダイス」に魅せられた口である。本当に久しぶりに足を運んだら超満員の最前列だった。
ニュージャージー州パターソン市でバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライバー)は、毎日型にはまった生活を送っている。朝6時過ぎに起きて、妻の作った弁当を持ってバスの中で詩作に耽る。夜はブルドッグの愛犬マーヴィンを連れてパブで一杯ビールをひっかける。そんな平凡な毎日にもドラマは起きる。月曜日から日曜日までの日常をまるで日記を綴るように映画は追いかけていく。独創的で大変な美人の妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)に翻弄される日々も愉しい。ファラハニはイラン映画「彼女が消えた浜辺」の主演女優だ。映画全体を引っ張っていて素晴らしかった。また、ブルドッグのマーヴィンも絶妙な演技でこの映画に優しさを与えてくれた。詩人役でラスト直前に現れた永瀬正敏も味わい深い。日常の中に潜む冒険とかけがえのない物語を映像で映し出す。
ジム・ジャームッシュの練達の作劇術に酔いしれた。
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