●2017/8/17.木 鈴本演芸場「吉例夏夜噺さん喬権太楼特選集」
岡町高弥
夏というには肌寒い、8月17日、「吉例夏夜噺さん喬権太楼特選集」を聴きに鈴本演芸場へ。
寄席というのはつくづく贅沢な空間だと感じさせてくれる会だった。超満員。まだまだ出入りが激しい中、柳亭左龍が「宮戸川」で落ち着かせ、春風亭一之輔が、まくらで爆笑をとって、与太郎が妙におかしい、「普段の袴」で会場をわかす。人気者が出ると空気が変わる。
会長柳亭市馬が、「喬太郎の代演がさん喬だった。めでたいですね」とやって「芋俵」。こういう噺は寄席ならでは。ギター漫談のぺべ桜井が一瞬だけ登場して去っていく。えっと思ったら橘家文蔵が「手紙無筆」。上方落語の露の文治が流れるような上方言葉で狸のちょっと哀しい落語、「まめだ」でお仲入り。
仲入り後は、「今日はちゃんとやりますから」と言ってほとんどマジックをやらず、しゃべりっぱなしの奇術アサダ二世がたまらない。いかにも寄席の色物。柳家さん喬が「一人酒盛」でたっぷりやって、林家正楽が紙切りで盛り上げてとりの柳家権太楼につなぐ。柳家権太楼は「手抜きのアサダ二世は嘘じゃないでしょ」と笑わせて渾身の「芝浜」へ。重くなくさりとて軽くなく哀しさと明るさが同居した権太楼の「芝浜」だった。寄席の芝浜。脱帽するしかない。
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