●2017/8/26.土　イイノホール昼公演「神田松之丞ひとり〜夢成金其の八」

岡町高弥

ついに松之丞が500席のイイノホール昼夜公演を満席にした。
十年で一気に昇りつめた。感慨深いものがある。
この日は三席。
「芝居の喧嘩」で講談の切れ味痛快さを存分に見せつける。落語と違って講談はドキュメント。実在の人物について語る妙味を巧みに説明。
いったん退いて、間を挟んで「番町皿屋敷」。落語の「お菊の皿」と違ってひたすら怖い怪談噺。灯りがついてほっとする。
休憩明けは、「中村仲蔵」。不世出の歌舞伎の名優の一代記を子供時代から丁寧に読み上げる。血縁がなければ一生不遇と決まっていた歌舞伎界。一所懸命に藝道を極めていく名人誕生の瞬間を松之丞の話芸を通して堪能する。旬の芸人にふさわしい演目だ。十分に観客の期待に応えた会であった。