●2017/7/22.土 本多劇場「本多劇場プロデュース恒例
牡丹灯籠志の輔らくご in 下北沢 2017」
岡高町弥
毎年、聴いていても全く違う話になっていく不思議。
毎回、きれいさっぱり忘れている。それもそのはずで、「私が覚えていないんですから」と語る立川志の輔。
近代落語の祖三遊亭圓朝が15日30時間かかった話を三時間に濃縮できる編集力。類い稀な芸当には感嘆するしかない。
前半はパネルを使って「牡丹灯籠」の複雑な人物相関図を分かりやすく説明する。30人以上の登場人物を丁寧に解説し物語に立体感を持たせる。この解説は芸術的と言っていい。
初めて圓朝の凄さを実感できる。
人間の縁の奇妙な繋がりに驚くことしきりだ。
70分かけて人間関係がわかったところで、後半は「落語牡丹灯籠」。お馴染みの「お露新三郎」「お札はがし」から「栗橋宿」、「関口屋」、そして仇討ちまで1時間40分一気呵成に聴かせてくれる。
気宇壮大な人間叙事詩。男と女の愛憎、親子の情愛、何よりも人との絆。
人間の根本は何百年経っても何ら変わらない。
その根源を落語で教えてくれるところが「志の輔らくご」の素晴らしさ。
エンディング曲で一気に過去と現在がつながっていく。この余韻に浸りたくて毎年、本多劇場に行くのだ。
至福の三時間にただただ酔いしれた。
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