●2010/9/21.火 銀座博品館昼
「瀧川鯉昇・柳家喬太郎二人会 古典こもり その五 銀座編」
まかしょ
開演14時。
開口一番は、鯉ちゃさんの「やかん」。
彼を見るのは二度目だが、
前座さんでこれほど上手いというか安定感のある人は珍しい。
しかし、疑問が残る。
伸びきったゴムなのか、伸びしろがあるのか?
ぜひ、後者であって欲しいものだ。
14時10分、「鯉」の出囃子で鯉昇師登場。
高座で一礼。
顔を上げて、にやっと笑い、間を取る。
いつものように客を自分の世界に引き込む。
喋りが生業の噺家が無言の間で作り上げる鯉昇ワールド。
そしておもむろにマクラに入る。
「もし皆さんがよろしかったら、20分間一緒に昼寝しませんか?」
まさに珠玉の一言。
会場は安心した笑いに包まれる。
師のこんな噺を人から聴いた。
「僕は、マクラは誰にも負けたくないんだ!」
そんな師の練りに練ったマクラは、
営業妨害となるのでこれ以上は書かない。
14時23分、「蒟蒻問答」に入る。
名前を聞かれた坊主が「ダライ・ラマ」と返答。
センスあるキラーパスがゴールを揺らした。
14時45分、「ウルトラ」シリーズの出囃子で、
喬太郎師登場。
今日の三味線は恩田えり嬢なのか?
立ち食いそばのマクラから「そば清」。
師では何度も聴いた噺だが、
いつも師匠であるさん喬師と比較していた。
「どうも〜」がどうも…
しかし今回は違った。
そばを食べる場面で三味線を入れ、
しかもそのリズムに合わせてそばを手繰るのだ。
清兵衛のキャラを一段とパワーアップ。
さん喬師の残像を一掃させた。
本人曰く「新作みたいなもんで…」
サゲで使った「?」の曲もナイス。
強引とも言える力業で、「そば清」を自分の世界に手繰り寄せた。
仲入り。
15時30分、出囃子「まかしょ」で喬太郎師登場。
旅〜学校公演〜清水は春風亭昇太、浜松は瀧川鯉昇の故郷というマクラから「小政の生い立ち」。
初めて聴く噺。
「つぶる目が違っているぞ!夜の部はどちらかに決めておけ!」
と突っ込む喬師がグッド!
15時52分、鯉昇師登場。
縁起を担ぐというマクラを丹念に振り、16時2分「佃祭り」に突入。
「マクラがサゲの前振りだった!」という奥深い結末に納得。
「古典こもり」は5回連続の皆勤賞。
「鯉」と「まかしょ」のガチンコ対決は、大相撲で言う好取組。
新たなファンを開拓し、「引きこもり」を「古典こもり」の虜にするために、
ロングランを望む。
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